「なでしこ姫はアジアをめざす」

なでしこ姫はアジアをめざす

2010年9月21日(火)

トルコの村に日本人女性80人が嫁いだ?

グローバル時代の国際結婚

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 つまり、このカップルの特徴は、日本の経済力はアジアの発展途上国よりも上なので、これらの国の女性が日本に嫁げば、自国で暮らすより経済的には幸せになれるという日本経済の優位性にある。

 日本人女性と日本人男性は、このように女性と男性とでは異なる理由から、国際結婚をしていると今まで言われてきた。ただし、見方を変えれば同じ理由で結婚していると考えられている点もある。それは女性が結婚によって、独身のころよりも何らかのメリットを受けているとされているところである。

 日本人女性は欧米の白人男性と結婚することによって文化的上昇というメリットがあり、発展途上国のアジアの女性は日本人男性と結婚することによって経済的上昇というメリットがあり、どちらの女性も上昇婚である。つまり、今まで国際結婚が成立するのは女性の上昇婚があるからと考えられてきた。

日本女性がアジアで国際結婚?

 タイで会った日本人の女性旅行者は、国際結婚する女性をたくさん見てきたと言う。だが、そうした女性たちは今も上昇婚をめざして国際結婚するのであろうか。それはどうも違うようである。トルコのカッパドキアの話を考えればすぐにわかることだが、彼女たちは欧米人男性ではなく、アジア大陸の西端に位置するトルコ人男性と結婚している。また、女性旅行者はバンコク、プーケット、チェンマイでもタイ人男性と結婚する日本人女性がいると言っている。

 しかし、日本人女性とトルコ人男性のカップル、日本人女性とタイ人男性のカップルともに、日本人女性は国際結婚することよって、文化的上昇も国家間の経済的格差による経済的上昇もしていない。つまり、日本人女性とアジア人男性の国際結婚が増えていることは、女性の上昇婚という理由では理解できないことになる。そうであるならば、それ以外の理由で彼女たちは結婚していることになる。

 次回は、現在起きている国際結婚のトレンドについて、共同研究者である山田昌弘中央大学教授が社会学観点から考察する。

(次回につづく。随時掲載の予定です)




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著者プロフィール

開内 文乃(ひらきうち・ふみの)

一橋大学大学院博士後期課程退学。主な著書に『「婚活」現象に社会学 日本配偶者のいま』(共著、山田昌弘編集、東洋経済新報社) 、『カップルが親になるとき』(共訳、勁草書房)、『幸福論――“生きづらい”時代の社会学』(共訳、作品社)


このコラムについて

なでしこ姫はアジアをめざす

 グローバル化とは、金融の国際化、安価な外国製品の流入、工場の海外移転、外国人労働者の増大など、カネ・モノ・ヒトが国境を越えて移動することである。このようなグローバル化の波は、結婚というプライベートな領域にまで及んでいる。
 今や国際結婚は「当たり前」の時代に入り、同じ屋根の下に暮らす夫婦、子供が同じ国籍であるとは限らない。そして、国際結婚の増大にともない、今までにない男女の組み合わせの国際結婚、アジア人男性と日本人女性に、われわれは注目した。それは発展するアジアの新興国の男性と海外に行くことに希望を見いだそうとする日本人女性の国際結婚こそ、グローバル化が生み出した新しい結婚のトレンドだからである。
 このコラムでは、この新しい結婚のトレンドが、なぜ、起きているかを明らかにしていきたい。

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