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日本初!内山 世界奪取から3戦連続KO
3回、ムクリス(左)に右ストレートを見舞う内山
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KOダイナマイトの本領発揮だ。ボクシングのダブル世界戦は20日、さいたまスーパーアリーナで行われ、WBA世界スーパーフェザー級タイトルマッチは王者・内山高志(30)が強打で挑戦者ロイ・ムクリス(23)のほお骨を粉砕し、5回2分27秒にTKO勝ちで2度目の防衛に成功した。世界奪取から3連続KO勝利は日本ジム所属の歴代世界王者では初の快挙となった。
その瞬間、グローブが破れたような鈍い衝撃音が会場に響き渡った。5回、内山の右フックが挑戦者ムクリスの左ほおを打ち抜く。「フラフラして目線が泳いでいた」。足元が定まらない相手のダメージを見て取り、さらに6連打を追加。空振りすることなく冷静にまとめると、挑戦者は崩れ落ちるようにうつぶせに倒れ込んだ。
ピクリとも動かない挑戦者。レフェリーがカウントを数えるのをやめ試合を止めると、すぐに関係者が殺到。ドクターがほおを叩いても仰向けに寝かされたムクリスは眠ったように横たわったままだった。その後、担架で控室に運ばれるとすぐに病院に搬送され左ほおの骨折が判明。そのまま入院する事態となった。
“KOダイナマイト”の異名が示す通りの驚がくのKO劇。それでも王者は「相手は試合直前にマネジャーが亡くなったりして会見でも泣いていた。試合中は絶対に倒してやると思ったけど、相手が担架で運ばれるのは気持ちがいいもんじゃない」。対戦相手が担架で運ばれるのはアマチュアで活躍した拓大時代以来、これが2度目。相手を気遣いリング上で喜ぶ姿は最後まで見せなかった。
世界奪取から3連続KO勝利は日本人では史上初の快挙。デビューから16戦全勝(13KO)で、KO率81・3%は国内の歴代世界王者では元WBA世界スーパーライト級王者・平仲信明(沖縄)の81・8%に次ぐ数字だ。それでも「たまたま。歴代の王者には自分よりも強かった選手がたくさんいる」と謙虚そのものだった。
プロ入り前に営業マンを経験し、入場券を購入してくれた知人に今も礼状は欠かさない。K―1に勧誘されたこともある強打の持ち主も、拓大入学直後には新人戦の補欠にも入れず荷物番だった。拓大2年の時には利き手の右手の人さし指と中指の付け根の腱を断裂し手術を受けた。「それ以来、試合で痛めては休めての繰り返しです」。10年がすぎた今も患部は2個のピンポン球が埋め込まれたように変形している。強打ゆえの悩みだが、無駄打ちをなくし確実に相手を仕留める技術を手に入れた。
「30歳でもまだ伸びる。もっと強くなりたい」。ボクサーとしてベテランの域に入っても、その飽くなき向上心は変わらない。気持ちが続く限りまだまだ戦い続ける。
◆内山 高志(うちやま・たかし)1979年(昭54)11月10日、埼玉県春日部市生まれの30歳。埼玉・花咲徳栄高でボクシングを始め、拓大4年から全日本選手権ライト級3連覇、社会人で国体を制しアマ4冠に輝く。日本代表として04年アテネ五輪アジア予選に出場も3回戦敗退。アマ戦績は91勝(59KO・RSC)22敗。05年7月プロデビュー。07年9月に東洋太平洋スーパーフェザー級王座を獲得し5度防衛し返上。1メートル72・2の右ボクサーファイター。
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