尖閣諸島沖の領海での衝突事件を巡り、中国政府が日本への強硬姿勢を一段と鮮明にしている。新たに閣僚級以上の交流の暫定的停止や、航空路線増便に関する交渉中止などを決めた。両国間の様々な交流事業にも中止の動きが広がってきた。
他人に投げた石はやがて自分にはね返ってくる。それは国家間の関係でも同じである。日中が深刻な政治対立に陥るのは、どちらの国の利益にもならない。にわかに激しくなったきしみを早急に抑えるよう、中国政府に冷静な対応を求めたい。
石垣簡裁は19日、海上保安庁の巡視船に衝突した中国漁船の船長の拘置期限を、29日まで延長することを認めた。中国の新たな対抗措置はこの決定への報復だという。
中国側は船長の即時無条件釈放を求めているが、日本は法治国家だ。外国からの圧力や政治的な理由によって、司法判断を曲げることはできない。日本政府は国内法に基づき粛々と対応する立場を示しており、実際にそれ以外の選択肢はない。
だが、中国側は必ずしもそうは考えていないようだ。中国政府はすでに要人の来日中止や東シナ海のガス田共同開発に関する条約締結交渉の延期も通告していた。圧力を強めれば、日本政府が司法に介入し、船長を釈放すると思っているのかもしれない。共産党支配下の中国と異なり、三権分立の民主主義国家では、そのような手法は許されないことを、中国側は理解すべきだ。
日中が成熟した関係を築けるかどうかは、深刻な対立が起きたときの行動で試される。その点、日本側は自制した行動をとってきた。
尖閣諸島周辺の日本領海には8月中旬以降、多い日で約70隻もの中国漁船が出現していたという。だからといって、それらの船長を日本側が次々と逮捕したわけではない。今回逮捕したのは、中国漁船の方から巡視船に衝突してきたからだ。中国国内では、この事実すら正確に報じられていないのは遺憾だ。
中国側には国内で弱腰批判を浴びないためにも、日本に強い姿勢を示さざるを得ない事情があるとみられる。弱気の対応に出れば、反日ムードが反政府運動に転化しかねないと恐れているとの指摘もある。
中国政府が北京、上海などで厳重警備を敷き、反日デモの拡大を抑えようとしているのも、そんな懸念からだろう。だとすれば、中国がとるべき行動は逆ではないか。強硬措置を連発して対立の火に油を注ぐのではなく、深刻になる前に対立を鎮めるよう冷静な行動に徹してほしい。
中国、衝突事件、尖閣諸島
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