社説
新成長戦略 雇用と生活を最優先で(9月19日)
「新成長戦略を着実かつ早急に実現する」
菅直人首相は内閣改造後の初閣議でこう指示した。
長期化するデフレに、円高・株安が追い打ちをかける。日本経済をどう立て直すのか。
鍵となるのは政府が6月に閣議決定した「新成長戦略」の成否だ。中長期的な経済運営の指針となる。
新幹線などのインフラ輸出を進め2020年までに平均で名目3%、実質2%超の経済成長を達成する。
さらに環境や医療、介護などの分野に重点投資し、10年間で約500万人の雇用を生み出すとしている。
少子高齢化の流れを見据えれば医療や介護の需要は増える。
環境分野での技術力は世界最高水準にある。太陽光発電や水浄化装置を官民一体で新興国に売り込んでいけば経済のけん引役となろう。
成長分野で投資と雇用を増やし産業のすそ野を広げていく。その趣旨は理解できる。重要なのは実現の具体的な道筋である。
政府は先に「新成長戦略実現会議」を立ち上げた。首相が議長を務め関係閣僚や労使双方の代表、日銀総裁らが参加している。だが、政府内での権能や位置づけは不明確だ。
実現会議の副議長になる大畠章宏経済産業相や、景気対策を担当する海江田万里経済財政担当相は、戦略の実現に向けしっかりした態勢をつくってもらいたい。
問題は実現会議が目指す方向性だ。首相は先の初会合で法人税率引き下げの検討を指示した。
経済界の要望に応える措置だろうが、財政再建や国民負担の論議とも深くかかわる。社会保障と税制改革の全体像を示すのが先である。
新成長戦略で企業の活力を引き出す方策は必要だが、その前提は暮らしの安心を重視することだ。
まず取り組まねばならないのは、雇用環境の改善である。国内失業率は5%台に高止まりし、新卒者の就職状況は過去最悪だ。
小泉純一郎政権が進めた構造改革で働く環境が悪化し格差も広がった。パートなどを含む非正規労働者は働く人の3分の1を占める。年収200万円以下の給与所得者は国内で1千万人を超えている。
製造業派遣を原則禁止する労働者派遣法改正案が国会で継続審議となっている。菅政権が主導し、与野党が議論を尽くしてより良いものに仕上げることが大事ではないか。
疲弊する地方経済へのテコ入れも欠かせない。北海道では農水産物加工、販売を促す「6次産業化」を進める独自の試みが始まっている。
地方の努力を後押しする国の施策がほしい。新成長戦略の中で地方の再生策を確立する必要がある。
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