「レベル違う」河野、完敗に意気消沈

　場内を大いに沸かせたカウンターも、結果的には“悪あがき”でしかなかった。最終ラウンド中盤、河野の右がロハスの顔面を直撃。ダウンを奪い、一気にたたみかけたがＫＯには至らず、劣勢を挽回（ばんかい）できなかった。ジム入門直後から指導する高橋トレーナーは「河野の詰めは天下一品。でもロハスは最後の一発はもらわなかった」。河野も「本当にレベルの違ううまさ」と脱帽した。

［フォト］喜ぶロハス、肩を落とす河野

　強靭（きょうじん）なスタミナを生かし、手数を重ねるスタイルは河野の真骨頂。この日も序盤から愚直に仕掛けたが、洗練されたロハスのステップに翻弄（ほんろう）され、まったくペースをつかめなかった。「行っても行ってもかわされる。ガンガン行ってもどうなのかな」。高橋トレーナーはラウンドの間に家族や友人の写真を見せて勇気づけたが、心の迷いは最後まで断ち切れなかった。

　名城信男に小差の判定で敗れた２年前のＷＢＡ同級王座決定戦以来の世界戦。再起を胸に、毎日１０００回、多いときには２５００回の腹筋で肉体を鍛え上げたが、１１月には３０歳を迎える。去就については「終わったばかりなんで」と言葉を濁したが、「最後のダウン、気持ちよかったっすね。すごい練習してたんですよ」。敗戦を美化するコメントが出るようでは、先行きは厳しいと言わざるを得ない。（奥村信哉）


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