日本で禁煙運動が起こったのは、1970年頃である。タバコの害についての医学的な調査が行われた後のことだからである.
タバコに害があるのはある意味で当然で、お酒は肝臓を痛めて脂肪肝、肝臓ガンに進むし、ケーキは糖尿病になる.味噌汁は塩分が入っているので高血圧になり、牛肉は内臓脂肪が蓄積する.
食品や嗜好品に「無害」というものを見つけるのは大変だ。
でも、不思議なことがある。すでに一度、使ったグラフだが、この前、このグラフを見ていて気がついたことがある。
横軸が西暦、縦軸が喫煙率で、禁煙運動が起こったときが1970年頃だからその時の男性の喫煙率は80%である。
当時の人口から見て、喫煙が許される男性というのは5000万人ぐらいだから、その80%というと4000万人の人が吸っていたということになる。もちろんグラフからも分かるが、その前の30年、つまり戦争が終わってからも男性のほとんどはタバコを吸っていた。
それなのに、1970年に肺がんになった人は男性でわずか8000人、だから、「タバコを吸うと肺がんになる」というのが本当なら、その比率は0.02%。
数字では少しわかりにくいが、0.02%というと「タバコを吸っても肺がんにはならない」ということになる。
1970年というと終戦からすでに25年も経っている.その間、男性の80%がタバコを吸い続けているのに、肺がんは1万人に満たない。
おかしい?!
1970年というと平均寿命は70才ぐらいだ。だから、「タバコを吸っても70才までは肺がんにならない」というのは証拠があることになる。それもこれほどハッキリした証拠だから誰も文句をつけられないだろう。
「タバコを吸っても肺がんにはならない」、それは科学的に確実だ。
もう一つ、禁煙運動が始まったとき、男性の8割が吸っていた.そして私のようにタバコを吸わないのに禁煙は勝手にやってくれという人もいた。
ということは禁煙運動の人は少数派だったのだ。なぜ、少数派が「俺は正義だ」と言い始めたのだろうか? なにしろ80%の人が自分の意志とお金でタバコを吸っていたのだから、それはそれで良かったのではないか。
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実はこのブログでタバコのことを取り上げたら、禁煙運動をしている人からかなりの反撃があり、そのご意見ももっともなところが多かったので、もう一度、調べ治そうと、いろいろと勉強中である.
でも、勉強すればするほど禁煙運動がおかしいと思う。
たとえば、調べると「タバコを吸っている人の肺と吸わない人の肺」の比較した写真があったので、最初はそれをデータとして使おうと思っていたら、その二人の経歴がずいぶん違う。
科学の常識として経歴が同じような人で喫煙か禁煙だけを見ることができないと、データとしては使えない。
また、タバコを吸う人は5倍も肺がんになりやすいと言われるから調べて見ると、確かに5倍は5倍だが、絶対値が小さい.つまりタバコを吸う人も「ほとんど肺がんにならない」という範囲でのことなのだ。これは言い方が悪い。
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人には主義主張がある。甘い物を好きな人はケーキが無くなると困るだろうが、ケーキが嫌いな人は「ケーキなど食べると糖尿病になり、俺の医療費を使うのか!」と言うことになる。
お酒に至っては、健康に悪く、街の雰囲気は壊し、おまけに飲酒運転が耐えない。もちろん、禁煙運動の人は、ケーキも食べないしお酒も飲まれないとは思うけれど、どうだろうか?
国家というのは、「教育も終わり、体も一応健康で、働いて暮らしている人」で構成され、その国民が主人である。その主人がケーキを食べようが、お酒を飲もうが、そしてタバコを吸おうが勝手のように思う.
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私が禁煙運動を調べると批判的になるのは、なにか禁煙運動がおかしいからだ。データもおかしいし、哲学もハッキリしない。
本当は、白人崇拝(タバコは有色人種のもの)か、においが嫌いなのか、煙がイヤなのか、それともタバコを吸う人が仕事をさぼってタバコを吸うからか、なにか本音は別のところにあるように感じられるのはなぜだろうか?
(平成22年9月20日 執筆)
武田邦彦