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UNHCRとは?

UNHCRとは?
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UNHCRの沿革

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR: United Nations High Commissioner for Refugees)は世界各地にいる難民の保護と支援を行なう国連機関である。UNHCRは国連総会によって創設され、1951年にスイスのジュネーブを拠点に活動を開始した。当初は第二次世界大戦後の後遺症がまだ残るヨーロッパにおいて、100万人以上の難民の援助を行なっていた。

その後数十年間、世界各地で国を追われた人々が増えるにつれ、暫定機関であったUNHCRは、その存続期間を5年ごとに延長してきた。2003年12月、国連総会はその存続期限を撤廃することを決定し、UNHCRは難民問題が解決するまでの恒久的機関となった。UNHCRの支援対象者は2008年初めには世界中で3170万人にもおよび、難民(2007年の990万人に比べ2008年には1140万人に)とUNHCRの保護対象となっている国内避難民(2007年の1280万人に比べ2008年には1370万人に)の両方の数に増加が見受けられる。

UNHCRにとって支援対象者は難民だけではなく、庇護希望者や帰還民、無国籍者、さらに約2600万人にも及ぶと推定される国内避難民の一部も含まれる。

創設以来、UNHCRは5000万人以上の生活再建を支援し、1954年と1981年の二度にわたりノーベル平和賞を受賞している。

現在、国連難民高等弁務官を務めるのは、元ポルトガル首相のアントニオ・グテーレスで、2005年6月15日に第10代高等弁務官として就任した。高等弁務官は経済社会理事会と国連総会に対して報告義務を負っている。UNHCRの年間計画は、現在76の国によって構成される執行委員会によって承認されている。

UNHCRと難民保護

1951年の「難民の地位に関する条約(難民条約)」は、UNHCRの事務所規定の主旨を強く反映しており、難民は、「人種や宗教、国籍、政治的意見または特定の社会集団に属するなどの理由で、自国にいると迫害を受けるかあるいは迫害を受ける恐れがあるために他国に逃れ、その本国の保護を受けることができない、あるいはそのような恐怖を有するためにその本国の保護を受けることを望まない者」と定義されている。1969年アフリカ統一機構(OAU)「難民の地位に関する議定書(議定書)」やラテン・アメリカ諸国による1984年「カルタへナ宣言」は、難民の定義を拡大し、「戦争や内戦などにより故郷を追われた者」も含まれると、明確に定めた。

 UNHCRの最も重要な任務は、難民を国際的に保護することとして知られているが、それは難民の基本的人権の尊重を確保するということである。それには難民が庇護を求める可能性や、誰も迫害の恐れのある国に自分の意思に反して送還されないということを保障することも含まれる。UNHCRは難民に関する国際的な諸規定の批准を促進し、国際法の遵守を監督する一方、故郷を追われた人々に対して食糧や水、住居、医療支援などの物的支援も行っている。

難民問題解決に向けて、UNHCRでは3通りの恒久的解決策を追求している。「自発的帰還」が最も好ましい解決策であるが、それが可能でない場合は、難民が最初に庇護を求めた国での「庇護国での定住」、あるいは「第三国定住」として新たな国にて生活を再スタートする支援を行っている。

UNHCRと国内避難民

UNHCRは、冷戦終結後、世界的各地で続発する紛争により、劇的に増加した国内避難民への支援を国連事務総長により限定的に要請されていた。

国内避難民とは国境を越えていないことから、国際条約で難民として保護されることがない。しかし、難民と国内避難民の苦境は同質であることが多く、共通の支援対策を執ることが最も現実的であることも多い。これは国内避難民が帰還する難民と地理的に同じ場所にいて、両方が同じ支援の必要性に直面するような帰還事業において、特に顕著である。2005年に国連とその専門機関は、国内避難民の問題を打開するため協調性と統一性を確保することを合意した。この新たな「協調的なアプローチ」のもと、UNHCRは国内避難民の保護や緊急シェルター支援、およびキャンプの調整運営を担う。UNHCRは1970年代以降、30以上の国内避難民支援事業に参加している。活動地域は、ティモール、スリランカ、ウガンダ、コンゴ民主共和国、コロンビア、アフガニスタンなどをはじめ、最近ではスーダンのダルフール地方にて支援活動を実施している。現在、UNHCRは世界中で約1370万人の国内避難民を支援している。

UNHCRの財政

UNHCRの事業は主に政府による任意拠出金、さらに一般市民や団体などから集められた寄附金により成り立っている。また運営管理費の一部として、限定的ではあるが、国連予算より拠出金を受け取っている。

2008年4月現在で、追加支援事業も含めたUNHCRの年間予算は16億4000万米ドルである。2007年の主要な拠出国はアメリカ合衆国(3億6700万米ドル)、日本(8900万米ドル)、スウェーデン(8500万米ドル)、欧州委員会(8400万米ドル)、オランダ(7400万米ドル)となっている。

UNHCRの現在の活動

2008年4月現在で、UNHCRは117か国に268の事務所を展開し、6351人の職員が勤務している。そのうち86.8%以上の職員は危険地や遠隔地を含む現場で働いている。2008年度のUNHCRの主要な保護・支援事業は、イラク、コンゴ民主共和国、中央アフリカ共和国、チャド、ダルフール、コロンビア、ソマリア、スリランカ、アフガニスタン、リベリア、スーダン南部、ウガンダなどで行われている。また、UNHCRは陸上の国境地帯に加え、大西洋やアデン湾、地中海などの海上における難民・庇護申請者・経済移民を含めた複合的な人口移動に関しても携わっている。

人道危機がさらに複雑になるにつれて、UNHCRは国連諸機関や600を超えるNGOを含む様々な機関と協働関係を拡大している。

さらに詳しい情報は以下までお問い合わせください。

UNHCR 駐日事務所
〒150-0001
東京都渋谷区神宮前5-53-70
国連大学ビル 6階
TEL: 03-3499-2310
FAX: 03-3499-2272
Email: jpntopi@unhcr.org

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