中国漁船拿捕、日中の外交戦エスカレート
東シナ海の尖閣諸島(中国名・釣魚島)で今月7日、日本の海上保安庁の巡視船が中国漁船を拿捕した事件は、日中韓の全面的な外交戦へと発展している。民間交流も次々と中断され、一触即発の危機感も漂う。
日本外務省は20日、中国政府が19日夕、在中日本大使館に対し、21日に日本を出発予定の青少年交流団1000人の訪中を受け入れないと一方的に通告してきたと発表した。この交流行事は今年5月、日中首脳会談で温家宝首相が日本側に提案したもので、一行は上海万博などを訪れる予定だった。
日本政府は、現在拘置中の中国人船長、セン其雄容疑者(41)を釈放するよう求める中国側の要求を受け入れない意向を明確に示している。20日付読売新聞は、外務省関係者が「日本政府としては、厳正に対処するだけであり、妥協はしない」と語ったと報じた。これに先立ち、沖縄県の石垣簡裁は、セン容疑者の拘置期限を29日まで10日間延長した。日本政府は、問題の漁船が日本領でかつ日本が実効支配する尖閣諸島付近の領海で不法操業していただけでなく、退去を要求する巡視船に2回にわたり船体を衝突させた現行犯であるため、日本の国内法に従い処理する方針だ。
日本のマスコミは、満州事変から79周年を迎えた18日、中国国内で大規模な反日デモが起き、中国政府が事実上それを放置したと大きく報じた。また、中国による反発が長期化した場合、10月末にハノイで東南アジア諸国連合と日中韓(ASEANプラス3)首脳会議、11月中旬に横浜で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で日中首脳会談が開かれない可能性があるとの分析を示した。
中国は今回の事件に関連し、日本の丹羽宇一郎駐中大使を5回にわたり呼び出した。19日には閣僚以上による交流を中断する措置も取った。
北京の外交関係者は20日、「中国外務省はさまざまな報復措置を取ったが、そのレベルは高いものではない。尖閣諸島を紛争地域化するという意図がある程度達成されれば、両国は互いの名分を考慮し、関係回復に入るのではないか」と分析した。中国が日本政府の措置に強く反発したのは、尖閣諸島が国際紛争地域であることをアピールするという戦略によるもので、適当な時期に妥協を目指す可能性が高いとの見方だ。
日本は米国が1972年に沖縄の施政権を日本に返還した際、尖閣諸島も範囲に含めており、同諸島が日本領であることは明確だとの立場だ。一方、中国は明、清の時代から台湾に属しており、米国による72年の措置は、第2次世界大戦終結当時の合意に反し、不法なものだと主張している。
東京=辛貞録(シン・ジョンロク)特派員