ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
 急いで書いたため、誤字脱字があるかもしれませんが楽しく読んでいただければ幸いです。
第九話 能力は関係ないだろ!! (終)
 “セブンスミスト”。
 豊富な品揃えとお手頃価格を武器に、学園都市でも最大手に上り詰めた複合服飾販売店(アパレルショップ)の名称だ。
 お洒落はしたいが、常に懐と相談せざるを得ない学生達に対し、品揃えと価格の両面で応えるこの《セブンスミスト》の人気は高い。
 そのため、支店の一つである第七学区支店は今日も学生達で賑わいを見せている。
 なのにもかかわらず、現在進行形で全力疾走をしている者がここにいた。
 「畜生!! どこまで追いかけてくる気だ!!」
 「地獄の底までさ!!」
 龍人は悠人に追いかけられている。
 事の始まりは数十分前だった。
 
            *** 数十分前

 三人の少年と少女の目的の場所へ向かっていた。
 「なぁ。ほんっとうに、悠人はロリコンではないのか?」
 上条当麻がふと悠人に尋ねた。
 「な、違うよ。あれは龍人が勝手に言った事なんだから」
 悠人は手を左右に移動させるジェスチャーをしながら否定する。
 少女が龍人のすそをくいくいと引っ張った。
 龍人は少女の位置まで目線を下ろす為にしゃがんだ。
 「なんだ?」
 「『ロリコン』ってなに?」
 龍人はちらりと悠人を見た。悠人がこちらを見ていないのを確認すると、龍人は説明し始めた。
 「『ロリコン』ってのはな、正式名称はロリーター・コンプレックスで、この性癖を指すのは未成年の少女に――」
 そこまで言ったところで、龍人は背後に殺気を感じて咄嗟とっさ空間移動テレポートを使い10メートル先に移動した。
 その直後、先程まで龍人がいたところを―悠人が発火能力パイロキネシスを応用して作ったのか―炎の剣が振り下ろされた。
 龍人は悠人の姿を見て思った。
 (き、鬼神がいる)と。
 そして、続いての龍人の行動は異常なまでに早かった。
 龍人は全力疾走でどこかに消えていった。そして、それを追う形で悠人もその場から消えた。
 取り残された少女と当麻は、とりあえず衣料品売り場へと足を運んだ。

            ***

 そんなこんなで、龍人は悠人に追いかけられていた。
 「畜生!! こうなったら悠人、手加減なしだぞ!!」
 龍人は行き成り止まったかと思うと、追いかけていた悠人の下に入るようにして身体を滑らせた。
 「悠人、俺が体術を使えないとでも思ったのか?」
 龍人はそういうと、足を飛ばすようにして真上つまり、悠人を下から上に蹴り上げた。
 龍人は連続でその後も蹴り続けた。傍から見れば、悠人は浮いているように見えるかもしれない。
 龍人は35回ぐらい蹴ったところで、止めを刺す為に悠人に横蹴りを炸裂させた。
 悠人は男子トイレのドアに背中からぶつかり、その反動でドアが開き、自然とトイレの中に倒れる形となった。
 悠人がピクリとも動かないのを確認した龍人は、「ちょっとやりすぎたかなぁ」と思い、悠人の傍まで近寄って行った。だが、その時だ。行き成り悠人が龍人の足を掴んだのだ。
 「捕まえたぞぉ。まずは、お前の足を貰おうかぁ?」
 そう言いながら悠人は炎の剣を作り出し、振り上げた。
 もしもこの炎の剣が振り下ろされれば、確実に龍人の足は切断されるだろう。
 「ッチ!! やりたくなかったが、しょうがない。悠人。怪我してもしらねぇぞ!!」
 龍人はポケットの中に合ったコインを取り出すと、悠人が炎の剣を振り下ろすよりも先に、悠人の炎の剣にだけ当たるように超電磁砲レールガンを放った。
 超電磁砲はうまい具合に炎の剣を消し去った。龍人が加減した為、炎の剣が消えるだけで済んだが、本気で放っていたら建物そのものが壊れていたであろう。
 悠人は炎の剣が消されたのを見て、確信していた。
 (ヤバイ。非常にヤバイ。やられる)と。
 悠人は恐怖のあまり気絶してしまった。
 龍人は足を掴んでいた悠人の手を振り払うと、立ちあがった。
 「ったく。なんで、こんな目に合ったんだか?」
 龍人がぶつくさ言っていると、後ろから声が掛けられた。
 「ねぇ。あんた、何やってるの? もしかして、女子トイレを覗きに来たの? へ、変態ね?」
 龍人は声の主の方に振り返った。
 そこには、ハンカチをポケットにしまっている御坂美琴がいた。
 「よぉ、奇遇だな。どれと、俺は覗きの趣味なんてないぞ。だから、変態じゃない」
 美琴は一言「あ、そう」と言った。
 「お前、相変わらず可愛げないな? あ、だがかわいい物が好きって点では可愛げあるのか? 服とかも、お前は可愛い物が好きだろ? 『夏らしい半袖。生地の色はピンク。柄は大小散りばめられたカラフルな花柄。裾にはヒラヒラとしたフリル付き』とかの寝間着パジャマだったりさ」
 龍人がそういうと、美琴は行き成り「なんで知ってるのよーー」と叫びながら龍人に向かって電撃槍を飛ばした。
 龍人は後ろで寝っ転がっている悠人を掴み、無理やり自分の前に立たせた。電撃槍は自然と悠人に当たった。
 龍人はそんな悠人を投げ捨てて、美琴に告げた。
 「酷いじゃねぇか!! 悠人は悪くないだろ!! なのに、なんで悠人がこんな黒焦げになってるんだ!!」
 龍人のその頃場に、二人の言葉が重なった。
 「「あんた(お前)がやったんでしょうが!!(だろ!!)」」
 お、悠人が復活した。感心感心。きっと、電撃のおかげだろ。
 龍人がそんな事を思っていると、行き成り悠人と美琴が握手し始めた。
 「ここは、一度手を組みましょう。そして、あの馬鹿をるのよ」
 悠人は二つ返事で承諾した。
 「そうだね。一時協力しよう」
 龍人は一言も発せずに走りだした。
 ヤバい。ヤバいよ。俺の危険信号が大ボリュームで鳴り響いている!!
 
             ***

 三人は「お客様にご案内申し上げます。店内で電気系統の故障が発生した為、誠に勝手ながら、本日の営業を終了させていただきます。係員は……」というアナウンスが聞こえるまで、ずっと走り続けていた。
 その時、龍人は思いだした。本日何が起こるのかを。
 三人に一人の少年が近づいていき、尋ねた。
 「おい。あの子見なかったか!!」
 三人は同時に声の主の方に振り返った。
 そこにいたのは、ツンツンの髪が特徴的な上条当麻だった。
 「おい。一緒じゃないのかよ?」
 「いや、外にいないんだ!!」
 「「「な!!」」」
 四人は一斉に『セブンスミスト』の中へ消えていった。
 しばらく走っていると、初春と少女の姿を発見した。
 それを見て、ホッとしている美琴と上条の傍らで龍人は悠人に訊ねた。人差し指であるものを指さしながら。
 「な、なぁ。そのぬいぐるみどこでもらったんだ?」
 そう。悠人の手には目が飛び出しているウサギのぬいぐるみが合ったのだ。
 気持ち悪。
 その問いに悠人は答えた。
 「ん? さっき、眼鏡をかけた少年から貰ったんだけど? まずかったか?」
 龍人は思った。
 (こいつが一番の危険人物だな。近いうちに殺るか)と。
 そう思った次の瞬間だった。
 悠人が持っていたぬいぐるみが縮まり始めたのだ。
 それに驚いた悠人がぬいぐるみを投げ捨ててしまった。そして、同時に初春もぬいぐるみを投げ捨てていた。
 最悪な事に、悠人が投げた反対方向に。自然と二つのぬいぐるみに挟まれる初春。
 初春は叫んだ。
 「逃げてください。あれが爆弾です」と。
 その言葉にいち早く動いたのが美琴だった。美琴は正面側の超電磁砲で消し去ろうとしたが、コインを誤って落としてしまった。
 それを見た瞬間上条と龍人が動いた。ちなみに、悠人は初春の近くに龍人が移動させておいた。
 上条が美琴側行き、龍人は反対側に行った。
 龍人は一時的に“無”の能力を右手に集めた。今、龍人の右手は上条の幻想殺し(イマジンブレイカー)のものに近くなった。
 二人は同時に右手を前にかざした。その右手を避けるようにしてそれは爆発した。
 実際は、右手に当たったところだけ消滅しているからそう見えるだけなのだが。
 龍人は爆発が終わるのを確認すると、あるところに空間移動した。

                  ***

 龍人はとある路地裏に立っていた。そこに、眼鏡の少年が現れた。
 「よぉ。爆弾魔。気分はどうだ? 最高か? アァ!!」
 少年は数歩後ろに下がった。
 「な、何を言って――」
 龍人は遮るようにして怒鳴った。
 「とぼけるんじゃねーぞ!!」
 龍人は次の瞬間少年の目の前まで進んでいき、物を言わずに胸倉を掴んだ。
 「テメェの事情なんて知った事じゃねぇがよ!! 勘違いするんじゃねぇぞ!! “能力とつよさは別もんだ”!! そんなのもわかんねぇくせに、関係ない奴を巻き込んでんじゃねーぞ!! お前のせいでどれだけの人が悲しんだと思ってんだ!!」
 言い終わると、龍人は無言で少年を殴った。
 少年は尻餅をつきながら、頬を撫でた。
 龍人は呆れる様にしてそのばから空間移動をして消えた。
 
               ***

 龍人はあの後、家に帰った。
 少年は連行されたが、それだけでは龍人の怒りは収まっていなかった。
 「後、10回ぐらい殴っとくんだったぜ」と呟きながら、龍人の意識は闇の中に落ちて行った。
 つまり、龍人は眠りについたのだ。
 
               *** SIDE御坂美琴

 私が、爆弾魔のところへ行ったら、龍人がいた。彼は叫び終わった後に少年を殴った。
 私は龍人がいなくなったのを確認すると、少年の前に姿を現した。
 少年は美琴が現れた事に驚きはしなかった。いや、正確的には驚く事が出来なかったのだ。
 「殴られて当たり前ね。もしも、あいつが殴ってなければ、きっと私があなたを殴っていたわ。あなたのしたことはそれほどの事だったのよ」
 それだけ言い終わると、美琴もこの場から消え失せた。
 少年は茫然と空を眺めた。
 (僕のやっていた事は間違っていたのかもしれない…)と。
 龍人は一人の少年の過ちを正したのだった。だが、龍人がその事を知るはずがなかった。
 終わり方がちょっと、あれになってしましました。
 指摘があれば、お願いします。
 読んでくださった方、ありがとうございました。
評価
ポイントを選んで「評価する」ボタンを押してください。

▼この作品の書き方はどうでしたか?(文法・文章評価)
1pt 2pt 3pt 4pt 5pt
▼物語(ストーリー)はどうでしたか?満足しましたか?(ストーリー評価)
1pt 2pt 3pt 4pt 5pt
  ※評価するにはログインしてください。
ついったーで読了宣言!
ついったー
― 感想を書く ―
⇒感想一覧を見る
※感想を書く場合はログインしてください。
▼良い点
▼悪い点
▼一言

1項目の入力から送信できます。
感想を書く場合の注意事項を必ずお読みください。