先に言っておくと原作と進み方が違うと思います。そこはご了承ください。では、楽しく読んでいただければ幸いです。
第一話 とある二人の転生者 (初)
学園都市第七学区。
東京西部の未開拓地を切り開いて造られた人口二三○万人を擁する学園都市の中心に位置する一際大きな学区である。
季節は冬。
SIDE 春風悠人
ここに、一人の転生者が歩いていた。彼の名前は春風悠人だ。彼はあの後しばらくしてから、神からある手紙を受け取っていた。内容は以下の通りだ。
『君の“能力”はブレインハッカーだよ。ブレインハッカーっていうのは相手の頭の中―脳―に勝手に侵入できる能力だよ。まぁこれについては難しいと思うから、後でまた手紙を送るよ。それと、君の“超能力”は発火能力の大能力者だから。それと、資金のことだけど銀行ni
取りに行ってね☆』by神ッというものだ。
なにが「取りに行ってね☆」だよ! なにも分からないうちに転生したくせに! はぁ。ようやく着いた。
僕はようやく郵便局の前にやってきた。僕はまず資金を銀行に取りに行くまでに30人ほどの人に尋ねた。だが、皆『銀行? それはね、○○○の隣だよ』とか『ああ、それなら×××の前だよ』だの、こっちは無理やり転生させられた身なのに、その○○○や×××も知らないっての!
そして、その後にこの間はああ言ったがさすがに学校に行った方がいいと思った僕は春から高校生となるべく、そのための書類一式を出すために郵便局を目指していたのだ。僕はようやく郵便局を見つけた。
ちなみに、ここまで来るのにも20人ほどの人に道を尋ねた。
僕は郵便局に入ると、最初に取った行動が椅子に寝転がって眠るというものだ。
僕は5時間もの間歩いていたので疲れた。
SIDE とある風紀委員
マフラーやコートなどの防寒着を着た人々が行き交う、その第七学区の街角に二人の風紀委員が居た。
一人は肩口まで伸ばした黒髪に眼鏡をかけ、ブレザーにチェックのプリーツスカートを身に付けた女子高校生。
もう一人は茶髪をリボンでツインテールにして、パーカーを羽織り、短パンと縞柄のニーソックスを履いた小学生くらいの少女である。
「はい。今日の巡回はこれでお仕舞い」
小型情報端末(PDA)を取り出しながら、固法美偉は巡回の終わりを後輩に告げた。
「何か気になったことや聞きたいことはある?」
ピッピッピッ、と小型情報端末に巡回報告を打ち込みながら、背後の後輩に問いかける。
問いかけられた後輩はと言うと、少し躊躇った後、口を開いた。
「…で、では、少しお聞きしたいのですが」
「なに?」
その言葉で固法は後輩の方を振り向く。
「風紀委員になって一年にもなりますのに、何でわたくしに任されるのは裏方や雑用、先輩同伴の巡回ばかりなんですの?」
ジト目がちに後輩…白井黒子は、抱いていた疑問を発した。
その様子を見た固法は小型情報端末を仕舞いながら、
「成績優秀な自分が半人前扱いされるのが不満?」
と優しく問いかけた。
「そ、そういう訳ではありませんけど…やはり、わたくしが小学生だからかと…」
固法の問いに黒子は拗ねるように顔を伏せた。
その黒子の頭に、固法は撫でるように軽く手を置く。
「年齢だけが問題じゃないわ。あなたの場合、なまじ素質が高い分、全てを一人で解決しようとするきらいがあるからね」
そう優しく諭すように固法は言う。
「もう少し、周りの人間を頼るようにならないと危なっかしいのよ」
黒子はむぅ、と今一納得がいかない表情で固法を見た。
それを見た固法は、置いた手を動かし、黒子の頭をよしよしと撫でた。
「そんな顔しないの。たくさん頑張ったご褒美に何か甘いもの奢ってあげる」
(…やっぱり子供扱いされてますの)
お金を下ろしてくる、と郵便局に向かった固法の背中を追いかけながら、黒子はそんな思いを抱いた。
郵便局に入り、自動現金預払機(ATM)の列に向かった固法を待つために、黒子は列から少し離れた位置に立つ。
わりと混んでいるらしく、利用者の邪魔にならないように黒子は注意した。
それから何気なく郵便局を見回していると、気になる男がいた。椅子に寝転がって寝ていたのだ。
「あ、白井さん!」
聞き覚えのある声が背後から聞こえてきた。
黒子が振り向くと、特徴的な花の髪飾りを付けた風紀委員志望の知人である初春飾利が、入口の自動ドアから入ってきたところであった。
「偶然ですねー」
「初春? 何故あなたが第七学区に?」
「もうすぐ中学生になるし、学校や寮の下見に来たんです」
「…中学生?」
初春の言葉を聞いて、黒子は思わず首を傾げる。
そして、初春の姉や兄のことだろうか、と考え、聞いてみることにした。
「どなたがですの?」
「へ?」
そして、暫しの間が流れる。
「私に決まってるじゃないですかー」
やだなー、と言いながら、初春はにこりと笑う。
「へ…へー」
(…同い年でしたの。てっきり二つ三つ年下とばかり…)
失礼な内心を悟られないように、何とか取り繕って黒子は相槌を打つ。
もっとも、声は裏返ってしまったが。
その後は春から通う中学校の話題となる。
初春が黒子の通う常磐台中学に憧憬を抱いたり、黒子がその幻想をぶち殺したり、噂の超電磁砲についての私意を語ったりした。
「そういえば、あなたは郵便局になにを……」
そう言いながら、何気なく視線を巡らせた黒子はあることに気がつく。
「どうしました?」
「ちょっと失礼」
初春に一言断り、黒子はその場を離れる。
向かった先は、険しい視線である方向を見続ける固法の傍であった。
「どうなさいました?」
黒子は小声で固法に話しかける。
それに気がついた固法は、手で静かに、とジェスチャーをしてから同じく小声で、
「あの男、さっきから職員の位置と視線ばかり気にしてる」
と、郵便局の受付の近くに立つ肩にスポーツバッグをかけたニット帽の男を指で示した。
そして、固法は黒子に話しかけるように屈むと、他人の持ち物を無断で透視するのは気が引けるけど、と呟いた後、男の方を“能力”でじっと見た。
あらゆるものを透かし見る能力、透視能力。
それが固法の持つ能力なのだ。
(妙な物は持ってないようね……)
固法は男が肩にかけたスポーツバッグとズボンのポケットの中を順に透視て、次に上着のポケットに視線を移す。
男の右手が右ポケットに突っ込まれており、その先には何かが握られていた。
「!! ……右ポケットに拳銃」
「強盗ですの!?」
固法の言葉に小さく驚きの声を上げる黒子。
この予想はほぼ間違いないだろう。そもそも郵便局を拳銃所持で訪問する理由など普通はあり得ない。
いや、考えられる理由が無くはないが、いずれもよろしくないものばかりだ。
「局員に伝えてくるわ。あなたは万が一に備え、利用客の誘導準備を……」
「逮捕しませんの!?」
「馬鹿なこと考えちゃ駄目よ。犯人の確保は警備員に任せなさい」
黒子の抗議を厳しい視線で制すると固法は、局員に知らせるために郵便局のカウンターへと向かった。
それを黒子は不満げに見送る。
(そんな消極的な…!)
そう黒子が思った時、
パァン!
乾いた銃声が局内に響き渡った。
SIDE 神風龍人
「あれ? 確かこっちだったよな? 違ったか?」
ここにもう一人の、もとい先に転生した神風龍人がいた。
俺は神から手紙をもらった。内容は以下のものだ。
『君の“能力”は光・癒し・無・透視・風・電気だよ。無の能力については難しいと思うから、後でまた手紙を送るよ。まぁ。一言で言うと、全ての能力を消すことができるから。それと、君の“超能力”は空間移動の大能力者だから。それと、資金のことだけど銀行取りに行ってね☆』by神っと。(めちゃくちゃチートな能力が入ってるし)
俺はこの間の考えを改めて学校に行くことにした。まずは資金を取りにいき、無事に下ろせたので春から高校生になるので、その為の書類一式を出すために郵便局を目指しているのだ。
俺は人口二三○万人のうち、八割が学生という学園都市でも珍しい髪の色と目の色が赤なのだ。あれ?これって、珍しいのか?まぁ、いいや。とりあえずは郵便局だな。
俺はキョロキョロと街並みを見回し、目的地を探す。
すると、視界の端に求めていたマークを見つけた。
「あ、あったあった。郵便局。空間移動でも使うか」
俺はショルダーバッグから書類を取り出し、それを確認しながら郵便局に空間移動した。
俺は無事に郵便局の前に移動できたわけではないが、結構近くまでこれた。
空間移動も慣れると便利なんだろうが、俺の場合はまだこれぐらいしかできないか。
などと、一人で考えていると、
「ん?」
今頃になって俺は、その周りで困惑ぎみに佇む人々に気がついた。
何だろうと郵便局をよく見ると、全てのシャッターが閉まっている。
今日は休業日なのだろうか? いや、そんなはずない! いや、それより、この光景を俺は知っているような? デジャヴ?
何処かで見たことがある。
何処であったか、と俺が思考しようとした時、“それ”は起きた。
「うわっ!」
郵便局の前に一人の少女が突然現れたのだ。
その出来事に俺は一瞬驚いた。
「え? ……外?」
花の髪飾りを頭に付け、同じく花の意匠をあしらったチュニックを着た小学生くらいの少女は、俺とはまた別の理由で驚いているようだ。
「白井さん!中にいるんですか!?どうして私だけ!」
我に返ったらしい少女は、中に呼びかけながら、郵便局のシャッターを叩き始める。
もちろんそんなことでシャッターがどうにかなるはずも無いのだが、それでも少女はシャッターを叩き続けた。
この光景を俺は“知っていた”。
そして、目の前の初対面であるはずの少女も、その口から出た名前も、俺は“知っている”。
間違いない。この場面は―
「お、お願いします!」
―確か、この後にあの少女が
「助けてください! 中に強盗が! 風紀委員が襲われてて……!」
と言って、その後しばらくしてからシャッターが壊されてそこから黒子に男が絶対速度を操り、複数の鉄球を取り出して黒子に投げるんだよな?
SIDE 春風悠人
なにやら、やけに騒がしいな。一体、なにが起きてるんだ?
僕は目を開けて視線だけを泳がせた。
何やら、一人の男が鉄球を持ちながら何か喋っているようだ。っていうか、この場面知っているような? あぁ、そうか。あいつが使う超能力の絶対速度に黒子が苦しめられてたんだった。そうとわかれば、助けないわけにはいかないよね。
とか何とか考えているうちに、男はすでにシャッターを壊していた。
あ、やべ。考え過ぎた。まぁ、シャッターだけなら大丈夫だよな? うん。大丈夫だ
僕は一人で納得した後に男がすでに黒子に向かって鉄球を投げていたのに気づいた。
やっべ~! まぁ。とりあえず男だけでも真っ黒焦げにでもしておこう。
僕はそう思い、椅子から立ち上がり指と指とでパチンと鳴らした。すると、男の周りを炎が囲った。
SIDE 神風龍人
俺はシャッターが壊されたおかげで、中を見ることができた。
ちなみに透視能力を俺は持っているのだが、まだやったことがないためにコツがさっぱり分からない。今度、練習しておこう。
とか何とか考えているうちに、男が黒子に向かって鉄球を投げたのに気づいた。
さ~ってと、うまくいくかは分からないがやってみるか。
俺は黒子と男の間に空間移動した。すると、今度はうまくいったようだが、目の前にまで鉄球が迫ってきていた。
俺は“無”の能力を使い絶対速度によって動いていた鉄球をタダの鉄球に戻した。
なるほど。あくまで無にできるのは能力だけらしいな。
SIDE とある風紀委員
それは、ほぼ同時に起きた。
見知らぬ男の人が私と男との間に入ってきたと思ったら、行き成り鉄球が地面に転がった。そして、それとほぼ同時に男が炎に包まれたのだ。
男は真っ黒焦げになり、その場に倒れた。
読んでくれた方、ありがとうございます。誤字脱字などがありましたら、指摘してください。