中国は2兆5000億ドル(約214兆円)規模の外貨準備に関しドル建てに限らず多様化を進めており、中国政府による米国債購入の縮小により、米金利が上昇し、政府による借り入れが一段と難しくなる、との懸念も一部に出ている。
しかし、15日に日本の政府・日銀が外国為替市場で実施した円売り・ドル買い介入により、中国の外貨準備の多様化が実際には、一段の米国債需要につながる可能性がある。
その理由は以下の通りだ。中国は米国債といったドル建て資産を縮小するのに伴い、複数の最大貿易相手国の通貨建て国債を購入している。こうした貿易相手国は競争力を失いたくないことから、自国通貨を低く維持することを目指して、ドル買いに向かう。
中国はこの多様化の一環として円の主な買い手となっており、日本の財務省によると、中国は今年これまでに270億ドル相当の円買いを入れている。アナリストらは中国の円買いが、既に強い円の一段高につながっていると指摘している。
現在、日本の当局は円高是正の圧力にさらされ、円売り・ドル買い介入を実施しており、これは米国債を通して実施された公算が最も大きい。円の一段高を阻止するために日本の当局がどの程度のドル買いを入れる必要があるか正確な規模は明らかでないが、これにより中国の多様化を目的とした円買いは十分相殺できることだろう。過去の事例では、日本の当局による2003-04年の前回介入時の介入額は3200億ドルに達した。また、今回は外為市場は当時と比較して73%拡大している。国際決済銀行(BIS)によると、現在、1日のドル・円取引額は5680億ドルに達している。
また、この中国による多様化は日本が唯一の対象ではない。中国は韓国ウォンの購入も進めてきた。また、韓国は外為市場で定期的に介入に入り、ウォンの急激な上昇を阻止するためにドル買いを入れており、これも中国のドル離れの動きからの影響を相殺することにつながっている。
[リアルタイム・エコノミックス(Real Time Economics)では米経済、連邦準備理事会(FRB)の金融政策、経済理論などに関する独自取材ニュースや分析、論評をリポートする]
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