「世の中には「漢方薬はメカニズムがわからないからニセ科学だ」などと言う人もいるようです。僕たちはそのような立場に与しません。薬が効くか効かないかは、臨床的に研究すればよいのです」 kikulog
ホメオパシーで使うレメディの効果は臨床的研究によって帰納的に否定されたのだろうか。8月24日に日本学術会議が発表した会長談話を読んでもわからない。1分子も残らないほど希釈しているから効果がある「ハズ」がないと演繹的に下した評価しかみつからない。漢方薬と同じように臨床的研究を待つ態度を、ホメオパシーに対してはなぜとらないのか。
漢方薬には成分がはいっている。しかしそれは薬になるかもしれないが、毒にもなろう。漢方薬が効くメカニズムはわかっていない。治療効果の臨床的研究がすべてについて済んでいるわけではない。まだこれからの「薬」も多いらしい。毒かもしれないものを病人に投与してよいのか。毒にも薬にもならないレメディを飲むほうがむしろ安全ではないか。
ホメオパシーには心理的効果・カウンセリング効果があることを、会長談話はなぜ認めなかったのだろうか。心理学は日本学術会議のメンバーではないのですか。
会長談話は、偽薬効果も認めないのだろうか。心理効果をねらって偽薬を処方することがじっさいに医療現場で行われていると聞く。これも否定するのだろうか。
会長談話をもう一度読んでみた。
「プラセボであっても効くのだから治療になる」とも主張されていますが、ホメオパシーに頼ることによって、確実で有効な治療を受ける機会を逸する可能性があることが大きな問題であり、時には命にかかわる事態も起こりかねません
プラセボとは偽薬のことだ。会長談話は偽薬効果を治療に用いることを否定していない。心理学の役割も明示的には否定していない。そして、(ここが重要なことだが)ホメオパシーも否定できていない。会長談話が指摘した弊害は「確実で有効な治療を受ける機会を逸する可能性」のみ。これは何も、ホメオパシーに限ったことではない。当たり前のことだ。漢方薬を飲んですませて、西洋医療を受ける機会を失して重篤になったり死亡した事例だって、探せばあるだろう。
なのに、「こうした理由で、例えプラセボとしても、医療関係者がホメオパシーを治療に使用することは認められません」と会長談話はいう。他のプラセボ(偽薬)は使っていいけどホメオパシーのレメディを使うのはいけないというのだ。ホメオパシーだけがダメなのはなぜなのだろうか。合理的な説明はどこにもみつからない。
会長談話は、最後に結論として、「ホメオパシーの治療効果は科学的に明確に否定されています」と書いた。この文書はわずか2ページなのに、論理的に破綻している。