ここまで来ると本格的に作曲が可能になってきますが、ある意味では「在り来たりなもの」しか作れないかと思います。
現状、私たちが聴いている音楽というのは【現代音楽】とも呼ばれるものであり、また別名【無調性音楽】などとも言われています。
どういう事なのか?というと、通常は「和声学」の範囲で覚えた「構成音」がコードや和音の主軸となるのですが、
現代音楽においては「ボイシング」という考え方や、ボイシングによる転調という考え方が出てきます。
本来、コードを鳴らす場合は、主要構成音以外の音は「テンション」として区別され、9・11・13などに入ってきますし、
そもそもスケール外の音はノンダイアトニックコードを意図して使用する時以外は使われません。
しかし、1960年以降は和声学のガチガチの縛り付けの中による作曲に嫌気をさす作曲家・演奏家なども現れ始め、
「スケール外の音も含めて12音を使って音楽を作る」という流れがイギリスのギタリストを中心に行われていき、
調性を保ちながらも〜調整を壊してまで、音楽の表現力の向上に挑む音楽家が群雄括弧して行きました。
そして、現在では和声学による調性のバランス取りと、12音技法や複雑なボイシングによる遊び心の両立が
主な現代音楽の定義とされています。。。和声学というのは、あくまで【それを自在に操るためのメインになる知識】ですね。
(もちろん、和声学を覚えずに、ボイシングだけは器用に理解してやろう、、、なんてことは不可能ですので、必須の知識です)
その「現代音楽」というものや「ボイシング」とは、どのようなものであり、どのような考えかなのか・・・?
それは、通常であれば「経過音・装飾音・刺繍音」などと呼ばれている音が、コード構成・コード名の中に殴り込みを掛けてくるような世界です。
例えば、通常「♭5(増4度・減5度)」が入るコードと言えば、メジャースケールでは「Zm7(♭5)」くらいですが、
ベースの半音進行を「これもスケール構成音である」と考えてコード構成音の中に入れてしまえばCM7(♭5)なんてコードも生まれます。
このような「複雑なボイシング」のことを【ヤッピーコード】とも言い、ギターの高速アルペジオ(ソロ)なんかのアレンジに使われたり、
その勢いで転調してしまったりする時に使われます。・・・いいえ「昔はそういう用途で使われていました」の方が正しいですね。
現在では、曲の構成を考える初期の段階から、これらのコード成分を考えて曲を作るというのが主流でもあります。
例え、フルボイシングで鳴らさなくても、他所のパートのアルペジオ構成も同時に考えられる利点はありますが、
音符の数や音程の差の計算は非常に複雑になります。但し、その音楽背景に最も相応しいシチュエーションに辿りつくことが
容易になるという最大の特徴もあります。転回や並べ替え+音程・休符を考えれば、1つのヤッピーコードだけで一曲出来るでしょう。
主要である和音構成だけでは「いつもの音」になるかもしれませんが、ここに「この曲だから、こういう表現が相応しい」ということを、
前以て感覚で得るためには、主要和音以外の構成であるボイシングに頼ることが多くなるということです。
和声学のみで作られている音楽は、どうしてもスピリチュアル・イメージ向きになり、どちらかと言うと「インスト向け」になり易くなります。
物語の背景の表現力とボーカルの表現の一体感が中心となる「歌物」には向いていないというのも理由の1つなのかもしれません。
例えば「sus4」は、原則的には「Xsus4」や「Xsus4(9)」(key=Cの「Gsus4/Gsus4(9)」)などくらいですが、
ここで「Wsus4」や「Tsus4」(key=Cの「Fsus4」や「Csus4」)などを使えたら、どれだけバリエーション広く作曲できることでしょう。
また「これらの音が、この曲に合う」と分かれば、その先の構成作りにも具体性が出てきます。
和声学や主要な和音構成では一定の和音の並びの規則やボイシングの禁止項目・・・悪く言えば厳しい規制・束縛がありましたが、
それをスケール構成音外も含めて飛び越えてしまう。それがボイシングの存在意義でもあります。
それと同時にダイアトニックの流れ(コード進行)も加えて行くというのが、コード作曲における基礎的な知識の最終段階となります。
もちろん、先ほども言いましたが、音楽の流れの基礎は和声学にありますので、ボイシングを数多く覚えればいいというものでもありません。
和声学でコード理論の基礎基本をしっかり理解した後に、それを拡張させるためにボイシングがあるわけですので、
その順序を逆にした場合は無調性音楽どころか「ハチャメチャ音楽」になりますから、その点だけは十分に注意・留意しましょう。
まだ満足にコード進行が理解できていない、、、と心当たりのある人は、いったん和声学に戻った方が良いと思われます。
(理解不十分の状態でヘタにボイシングに手を伸ばすと、頭が混乱すると同時に音楽がイヤになる恐れがありますので)
重要なことなので3度言いますが、ボイシングの世界に足を突っ込むのは和声学を一通り覚えてからにしてくださいね。
さもないと。。。
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ということになります。