さて、コード進行を極めるためには、まず彼のことを理解してあげなければなりません。
【彼】とは誰か?と言うと、、、そう、、、部下にも恵まれず、その上ただただ終止の為に仕事をやり続けるしか他ない、
「X(ドミナント)」さんのことです。。。ドミナント終止・サブドミナント→ドミナント終止・偽終止・・・

そして、せめての見せ場はUmさんとの連携プレイである「Um→X(トゥーファイブ)」くらい・・・
ただただ、それでも一生懸命、手を抜かずに決められた仕事だけを淡々とこなす日々・・・
このままだと、あまりに彼が不憫でしょう。

そこで社長以下周りの上司たち・部下たちも真剣に考え始めました。

「せめて、彼への負担を少しでも楽にしてあげられる方法はないか?」
「もう少し、広い範囲で他の仲間と連携を取りながら彼が活躍出来る方法はないか?」

そこには【Xさんにはあって、他の人にはない、「ある特徴」がその解決の鍵を握っていました】

TM7 Um7 Vm7 WM7 X7 Ym7 Zm7(♭5)

そう・・・他の仲間は「M・m」というものを持っているのに、ドミナントさんだけは「Mもmもない」のです。
そこにやっと仲間たちが気付きました。

「そうか、私たちが彼の手助けを出来なかったのは、そういうことだったのか・・・」と。。。

そして、仲間たちの決意は固く、ドミナントさんの仕事を少しでも手助けできるよう、
「自らの仕事の方向性をドミナントさんに合わせるマニュアル」を開発したのです。

それを「セカンダリー・ドミナント・コード」と言います。

主要和音 セカンダリードミナント
TM7 T7
Um7 U7
Vm7 V7
WM7 W7
Ym7 Y7
Zm7(♭5) Z7(♭5)

そして、何よりもドミナントさんのことを理解しており、最高のパートナーでもあるのは、やはりドミナントさんの親友である「Um7」さん・・・
彼はドミナントさんに更に近い姿である「U7」となって現れた時、他の仲間の「ドミナントさんの真似事」とは一味も二味も違う役割を果たすだけの能力があります。
その敬意を称してか、彼だけは単なる「セカンダリー・ドミナント」という言い方ではなく「ダブル・ドミナント(DD)」という名称が与えられました。

さて・・・ここで疑問に残るのは、、、「で?結局、ドミナントさんのマネをしたのは良いものの、、、私たちに何が出来るのだ・・・?」ということ。。。
右も左も分からない彼らは、とりあえず、Um7さんとドミナントさんの普段の仕事のマネから始めました。

マイナー7th セカンダリー・ドミナント
Um7 X7
Vm7 Y7
Wm7 Z7(♭5)
Xm7 T7
Ym7 U7
Zm7(♭5) V7
Tm7 W7

・・・・・・色々とおかしなことになっています。

部下「ちょwww社長!専務までwwwなにやってんすか・・・?(´Д`」

T「いや、、、面白そうだったので、ついつい(´л`・・・でも後悔はしておらん(キリッ)」

部下「・・・社長がマイナーって・・・ただでさえ不景気なのに縁起悪いからやめてください」

T「・・・そうか・・・つまらんのう・・・(;;
  じゃあ、専務は良いのかい?」

部下「・・・まぁ、専務だけくらいなら」

専務「え?いいの・・・???」

それが【Wm7(サブドミナントマイナーセブン)】の誕生だった。(と覚えておいてください。 理由:そっちの方が楽だから)

今回の事でX本部長のマネをする感覚を掴んだ社長並びに社員達。。。
次にやるべきことは、もう決まってます。【ドミナントモーションや偽終止をマネする】だけです。

【X本部長からT社長へ】・【X本部長からVさんへ】・【X本部長からYさんへ】のそれぞれの動き、、、
全ての「X本部長からのモーション」を他の社員達に移行してしまえば、彼の役割を一時的にでもカバーできます。

ドミナント・モーション
セカンダリードミナント トニック
X7 T
Y7 Um
Z7 Vm
T7 W
U7 X
V7 Y
W7 ♭Z
偽終止1
セカンダリードミナント トニックの代理
X7 Vm
Y7 ♭Xm
Z7 ♭Y
T7 Ym
U7 Z(♭5)
V7 ♭U
W7 Um
偽終止2
セカンダリードミナント トニックの代理
X7 Ym
Y7 Zm(♭5)
Z7 ♭U
T7 Um
U7 Vm
V7 ♭Xm
W7 X

セカンダリードミナント自体が【スケールの構成音を飛び越えた存在への橋渡し】ですので、
そろそろこの辺りから「♭(#)」が付いたものも含めて頻繁に出てくるようになります。

特に、この「セカンダリードミナント→偽終止」の流れは、最後のサビで#1個分移調(J−POPの転調)する際に、
自然な流れで移調させるために必須の知識になってきます。(これがないと突然転調したように聞こえます)

ちなみに、現在のJ−POPにてアホのように乱用されている【王道進行】は、どうやらコレを利用したもののようですね。
「Wからの偽終止2」→「X」と、「Xからの偽終止1」→「Vm」、そして「Vからのドミナントモーション」→「Ym」
どこかの本に書いてあったわけでもなく、この3つの表を作った時に気付いた・・・良い音には必ず理由があるんですねぇ・・・(−−;

(だからと言っても、それにばかり頼っている昨今のJ−POPには「いい加減にしろ」と言いたいが)

ここでは主題に合わせて「セカンダリードミナント→○○」という風に書いていますが、
これらの流れ自体は「その他の通常の和音構成」でも十分に通用しますので、そちらを先に覚えておきましょう。