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【プロ野球】

原動いた 5回から山口

2010年9月20日 紙面から

1回表2死二塁、矢野の左前タイムリーで生還した二走阿部(左)と、タッチで迎える巨人ナイン=甲子園球場

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◆巨人6−4阪神

 浜風を味方につけた。1回2死一、二塁。巨人の阿部は高めボール気味の直球をとらえて、中堅左へ強烈なライナーをはじき返した。打球は左翼方向へ吹き抜ける風に後押しされ、中堅・藤川俊と左翼・マートンの間をすり抜けてフェンスまで達した。前日0点に封じ込まれて重苦しさに包まれていたチームに会心の二塁打で2点の先制点をもたらした。

 主将の一打に、後の打者たちが呼応する。矢野、エドガー、脇谷までの4連打で一挙5得点。2死からの大量点だけに、相手に与えたダメージは計り知れない。「みんなつなぐ気持ちだったと思う」と阿部。2回までに速攻で奪った6得点で逃げ切り、阪神に再びゲーム差なしに迫った。

 阿部はチームの思いを代弁した。「きょうは落とせなかった」。当然ながら原監督の胸にも同じ思いがあった。だから、非情にも見える一手をこともなく打った。5点リードの5回。先発・藤井の打席で代打を送った。藤井はあと1イニング投げきれば、3カ月ぶりの白星が手に入る。その背景を分かった上で決断した。

 「勝つという部分でバトンを託す選択をした」と指揮官。2番手で送り出した山口にはロングリリーフを命じ、3イニングにまたがって33球を投げさせた。翌日の起用が難しくなるのは百も承知。目の前の試合をしゃにむに奪いにいった。

 3戦目も総力戦で挑むことに変わりはない。原監督は「あすは両軍とも死に物狂いで戦う」と意気込んだ。残り12試合。三つどもえでのし烈なペナント争いに、阿部は「しびれるシーズンになって野球人生のためになる。自分のやることをやれば勝てる」と言った。苦しいからこそ糧になる。人事を尽くした先に、どんな天命が待っているのか。

  (永山陽平)

 

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