「マリナーズ1-6レンジャーズ」(18日、シアトル)
マリナーズのイチロー外野手(36)が18日、シアトルでのレンジャーズ戦の第1打席で二塁内野安打し、日米通算3500安打を達成した。第4打席でも快足を生かしての投手への内野安打で、さらに3501安打に伸ばした。今季の安打数は193となり、10年連続の200安打にも残り14試合であと7本に迫った。
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知っていた。しかし、特別な感情はなかった。「区切りだと僕は思ってないですから」。初回の二塁内野安打で到達した日米通算3500安打の節目。イチローは淡々と「チームの勝ちに貢献できなくて残念ですね」と同じフレーズを2度、口にした。
大リーグでは過去にピート・ローズら5人しか達成していない偉業。気分が悪いはずはなかった。日本で1278本、メジャーで2223本。両国の実力差を議論する者もあるが、事実としてあるのは、日本では1試合当たり1・3安打に対し、メジャーでは1・41安打というデータだ。「こっち(米国)にいた方が数は打ってたでしょうから、そう考えると意味があるのかなぁ、と思います」。日本で残した実績に対するプライドをのぞかせた。
本拠地で積み上げた節目の1本。しかし、祝福したのは右翼席に陣取る熱狂的なファンだけ。それもそのはず。この日は快挙を伝える場内放送が一切なかったからだ。
「僕から『やめてください』と伝えました」。
試合後のイチローが自らの意思で自粛したことを明かす。理由として挙げたのは、日米3000安打を達成した08年の経験。今季同様、チームが低迷する中の祝福ムードに一部からネガティブな反応があった。「ファンの楽しみを奪ってしまったことは残念だと思います。でも、僕としてそうしなくてはいけなかった」。チーム状況を考慮し、苦渋の決断だった。
この日は、7月まで同僚だったメジャー屈指の左腕リーと対決。内野安打2本を含む4打席を振り返り「やっぱりトータルでコーディネートしてる感じがはっきりと見えますよね」と変わらぬ印象を口にした。2試合連続、今季62度目の複数安打で193安打。イチローが10年連続200安打の偉業にさらに近づいた。