内山余裕の無視　挑戦者メンチ、ベルトお触りにも貫禄…２０日・ＷＢＡ世界Ｓフェザー級戦

計量をクリアして握手で健闘を誓い合う、世界王者の内山（右）と挑戦者のムクリス

　◆報知新聞社後援　プロボクシング・ダブル世界戦　▽ＷＢＡ世界スーパーフェザー級タイトルマッチ　王者・内山高志─同級５位・ロイ・ムクリス　（２０日、埼玉・さいたまコミュニティアリーナ）　チャンピオン・内山高志がムクリスの度重なる挑発行為を完全無視した。注目のダブル世界戦は２０日にゴングを迎える。１９日、都内で前日計量が行われ、４選手とも一発でクリアした。メンチを切られ、ベルトを触られ…と挑戦者にやりたい放題された内山だったが、王者らしく平常心で対応。闘志を新たに世界戦３連続ＫＯ勝利でＶ２を狙う。

　これが王者の余裕だ。３０歳の内山は７歳年下の挑戦者の挑発を軽くあしらった。計量後の写真撮影の際、隣のムクリスが鬼の形相でメンチを切ってきた。さらに左拳をあごに突きつけられた。緊張感が高まるかに見えたが、内山は目線を合わせず、自らの拳も普通のファイティングポーズにとどめた。

　「そりゃ視線は分かりますよ。でも気にならない。僕は試合でやるだけ」と終始冷静。調印式後の撮影では肩に抱えたチャンピオンベルトを右手でお触りしたムクリスの行為にあきれたように苦笑いした。「ベルトは勝って触るもの。僕は王者になるまで触らなかった」と持論を展開し、「ベルトは渡さないよ」とＶ２を宣言した。

　計量ではリミットの５８・９キロで一発パス。気迫たっぷりの表情で「ただ勝ちたいという気持ち。ＫＯはチャンスがあればいきます」。実現すれば日本人世界王者では初の快挙となる王座奪取からの３連続ＫＯ勝利を見据えていた。

　内山のＶ２戦はメーンイベントだが、セミファイナルで同門の河野が世界王座奪取を目指す。同じジム所属の２選手による国内でのダブル世界戦は過去に４例あるが、両選手とも勝ったケースはない。今回「世界戦ダブル勝利」にも挑戦する。

　内山は「僕が勝たなきゃ話にならない。河野も勝って、ＷＢＡとＷＢＣのベルトが同時にジムにあればうれしい。会長への恩返しになる」と２５歳の時に自分を見いだしてくれた渡辺均会長（６０）の真横で意気込んだ。鍛え上げた硬い拳で新たな夢を描く。