宮崎県の東国原英夫知事が、来年1月20日の任期満了に伴う知事選(12月26日投開票)に出馬しない意向を固めた。タレント時代の師匠、ビートたけしさんと最近東京都内で会い、こうした意向を伝えた模様だ。来春に予定される東京都知事選や、次期衆院選への出馬などが取りざたされている。家畜伝染病の口蹄疫(こうていえき)問題で大きな打撃を受けた地域経済の復興は、次期知事に委ねられる可能性が高まった。
東国原知事は20日夜、宮崎空港で記者団に対し知事選について「熟慮中だ。9月議会で表明する」と述べ、明言を避けた。たけしさんとの面会は認めたが「口蹄疫問題でお世話になったお礼」と述べるにとどめた。ただ、関係者によると、知事は29日にも県議会本会議で表明する見通し。表明が24日か、議会最終日の10月12日になる可能性もある。
知事は県議会で、知事選出馬について態度を保留する一方「国の形を変える」などと述べ、国政に意欲をにじませる場面が目立った。口蹄疫問題で国と対立した経緯を踏まえ、記者団に「口蹄疫がなければ恐らく2期目をやっていた」と語ったこともある。地方分権への関心が強く、財政基盤の強固な都知事か、国会議員を志向しているとみられる。
東国原知事は07年、官製談合などで後に逮捕された前知事の辞職に伴う出直し選挙で「宮崎をどげんかせんといかん」と訴え初当選。就任後は宮崎牛やマンゴーのトップセールスで宮崎の知名度を上げた。一方、昨夏の衆院選では自民党からの出馬を模索。任期半ばでの国政転身の動きが県民の反発を招き、断念した経緯がある。
知事選への立候補表明者はまだいないが、県OBらが東国原知事の不出馬に備え、候補者擁立の動きをみせている。これに対し、知事は官製談合事件以前の政官業癒着などへの逆行を懸念しており、出馬の可能性は消えていないとの見方も、なお一部に残っている。
【石田宗久、小原擁】
毎日新聞 2010年9月20日 21時35分(最終更新 9月20日 21時47分)