「こちら蛇・・聞こえるかオタ・・いやベニー」
「聞こえているよ、蛇」
「小型の通信装置と防水加工の段ボールが役に立っている」
「現在地は?」
「工場の資材置場に到着。中心部に潜入したら合図を送る」
「了解」
ジャックが段ボールを選んだ理由は前世の世界。
近所に住んでいた蛇爺さんの事を思い出したからである。
老人曰く
“ダンボール箱は敵の目を欺く最高の偽装と言える。
潜入任務スニーキングミッションの必需品”
老人曰く
“ダンボール箱をいかに使いこなすかが、任務の成否を決定する”
老人曰く
“ダンボール箱に命を救われたという工作員は古来より数知れない”
そんな変な格言以外にも、かくれんぼ。
格闘の組み手。
そして段ボールの使用方法等を伝授してくれた。
まあ近所では変人と言われていたが、
その昔の蛇爺さんの忠告を思い出し。
ラグーン号が荷物運びに使用する防水段ボールを被っていくと。
何故か怪しむ奴は皆無い。
まさか段ボールで入り込む変な奴はいないと思う心理なのかも知れない。
資材置場からチップ生産ラインから作りかけのチップと完成品と金庫から設計図の一部をゲットしたまではよかった。
“発電所を爆発して、レヴィ達に合図を・・”
ゆっくり進みながらこれからのプランを考えていると、
いきなり背後でいきなりチェンソーの音が響く。
「怪しい段ボールですわ、お姉様」
「そうだな。怪しい段ボールは切り裂くのが一番」
運悪くヘンゼルとグレーテルの二人と再会してしまった。
「あらあら、あの時のお兄さんね」
「あの時の辱めは忘れていないよ」
段ボールにチェンソーの刃が迫る。
切り裂かれる段ボールとチェンソーを受け止めながらも、ジャックの掴んだ大型のナイフからはバチバチと火花を飛び交う。
不意にグレーテルの構えた機関銃の弾薬装填音が聞こえ、いきなりヘンゼルが身を下げる。
避けようと体が動いた瞬間。
ヘンゼルから強烈な閃光が走った。
「うぉっ眩しい」
「フフフ、目の良さが命取りねお兄さん」
更にワイヤー式のスタンガンがグレーテルから撃ち込まれ、体がビリビリと痺れた。
「お兄さんは動きが良いからまず体の痺れさせるのが一番よ。」
追い撃ちをかけるように倒れたジャックの首にMG42の肩当てが何発も叩き込まれ。
先程まで眩しかった視界が戻るが肩当ての一撃とスタンガンの衝撃で体はまだ麻痺していた。
「侵入者は殺せって、おじさん達は言ってたけど。お兄さんに人の前でケツを殴られたし。ただで死なせるのは惜しいわ」
「そうだね姉さん。どうやってなぶり物にしょうかな?」
斧やチェンソーや釘やトンカチをポケットから取り出しぶつぶつ考えているヘンゼルとグレーテルだった。
「じゃあまず、足をトンカチで砕いてから足の先から斧で斬っていくのはどうかな?姉さん」
「良いわね。私達を人前で尻叩きをした相手に十分な仕打ちになるわ」
さてと言った感じに振り返るといきなり二人の体が何かの力で持ち上がる。
「獲物を前に舌なめずり、それは三流のすることだファッキンキッズ(クソガキ)。」
目からピカンと光る彼の顔を見たヘンゼルとグレーテルは恐怖が頭で理解するより早く、体が恐怖に反応して失禁していた。
「幾ら震えても無駄。泣いても無駄。これより肉体言語を開始する」
「「うあぁぁーん」」
二人の絶叫と関節技で骨が砕ける音が工場内に響く。
二人のお仕置きを済ませたジャックはすぐに発電所の燃料タンク。
そして制御装置に爆薬をつけた。
関節技でボロボロにした二人のクソガキを担ぎ。
安全な地点に運んでからスイッチを点けた。
腹に響く轟音と、燃える炎が工場に高らかに上がる。
レヴィ&ダッチ
段ボールでコソコソやる趣味のない二人は合図と共に工場内を進み、向かってくる敵を次々と蹴散らす。
「あの銀髪、まだ見つかってなければいいが。」
「ヘッ、レヴィさんよ、一丁前に他人の心配出来る状況じゃない。また奴らがくる」
その言葉と共に、部屋や廊下から、
ネオナチやチンの部下の連中が襲い掛かるが、
二丁拳銃のレヴィの動きについてこれずに死体に変わっていく。
銃声が響く中で二人が、進む廊下の壁に機関銃の音と共にデカイ穴が出来て、中から強化装甲服を着た一人の馬鹿が現れた。
「ここまでやってくるとは中々やるではないか~!だが我が団の行動隊長である。このスタンフォードが貴様らを我が第四帝国の科学技術で造り上げた強化装甲服の四連装式のMG3が毎分1,150発×4で貴様の身体を挽き肉にっ!?」
スタンフォードのお喋りはレヴィが撃ち込んだ数発の銃弾で地面に倒れた。
「前置きが長えだよ、お前はテレビの解説者か?相手を殺すならさっさと撃っちまえばいいだよ馬鹿。1,150発/分だろうが弾の速度が早かろうが。ようは撃って当たればいいんだよ。じゃあなナチス野郎」
両足関節の部分を撃ち抜かれ、倒れ伏していたスタンフォードの眉間に銃口を押し付けた零距離射撃で引き金を引いた。
「全く今の馬鹿は一体?」
「さあな、まあ行動隊長が直接出てくるって事はそろそろ連中も打ち止めだ」
ラッチマン&シュレディンガー
工場責任者室の中でラッチマンは一人うなだれていた。
工場を発見され、警備兵や団員が次々と始末された。
机に手を組みうなだれていると。
「あのデカイオッサンが死んだようだね~」
「!?シュレディンガー准尉」
「ははは、どうも~部下を失って仕事に失敗した団長さんにお電話です~どうぞ」
いきなり渡された携帯電話を団長を恐る恐る耳を傾けた。
「君が例のネオナチを名乗るクラブの団長かね?初めてお会いする。私が准尉の上司、君は今から死ぬ、私が処断せずとも死ぬ事なる。せめてもの贈り物を送る」
電話がプツリと切れると共に、デスクの上に拳銃が置かれていた。
その拳銃はグレイゴースト“灰色の幽霊”とも呼ばれているが、正式名称はワルサーP38。
第三帝国の使用していた拳銃である。
「弾が入っていますので、お好きに使用して下さいとの事です。団ちっ!?」
笑顔で説明していたシュレディガーは自決用に団長に渡した拳銃で頭が半分に潰れた。
「ふざけるな!ふざけるな!」
数発の銃弾をシュレディガーの肉体に撃ち込む、そのままデスクに銃を置いて椅子に座り込み肩で息をしている時である。
頭を撃ち抜いた少年が何事も無かったかのように自分の横に立っていた。
「アハ~自決用の武器で僕を撃つなんて中々だね、原住民に殺してもらう予定だけど、少佐の許可をもらっているし。今この場で始末するよ」
笑いながらシュレディガーはデスクに置かれた程まで握っていたワルサーP38を恐怖で震えるラッチマンの眉間に無理矢理押し付けて引き金を引いた。
数分後。
ドアを蹴破り男女二人組が現れ、更に壁を蹴破り別の銀髪の男が現れた。
「壁ぶっこわさないで、入口を使えよ銀髪」
「よう、無事かジャック。そこに担いでいるガキ共は確かイエローフラッグで銃をぶっ放したガキだったな」
「ガキを殺す趣味はない、尻叩きの代わりに関節技で改心させた。それよりも・・どうやら死んじまっているみたいだ」
デスクに転がる遺体は写真でみたネオナチの団長のものであった。
(情報掴めずか)
引き出しや死体のポケットまであさって数枚の書類と弾切れのワルサーP38くらいしか証拠になりそうな物はなく、ジャックはとりあえずポケットに詰めた。
「あったのは現金くらいか、弾代の代わりにもらっていこうぜ」
「死んじまった奴に金はいらんだろう」
レヴィらは散乱した部屋にあった数十万ドルをチップ代わりにポケットに押し込めた。
「目的も済んだ事。帰るかジャ」
と言いかけた時、轟音が工場内に響く、何故か発電所以外の所から火の手が上がり出した。
「レヴィ、ダッチ、ヤバいぜ逃げた方が良さそうだ」
「盗掘した遺跡がぶっこわれるのは冒険物の基本ってやつだ」
「チッ、さっさと逃げるぞ銀髪」
爆発していく工場内を行き掛けの駄賃の数十万ドルを担いで逃げるレヴィとダッチ。
そして何故かジャックの肩に掴まるヘンゼル&グレーテル。
燃え上がる工場の階段は各所で燃え上がり、道が塞がれていた。
「万事休すって奴だ」
鞄を担いだダッチはレヴィ達と共に周囲を見回す。
「おい、ダッチ!レヴィ!こっちだ」
ジャックが指差す方向に窓があるが、下は海ながら高さはビルの四階に匹敵した。
「まさか飛び降りるつもりか?馬鹿か銀髪!!」
あまりの無理加減にレヴィは叫んだ。
「そうするしかない。焼け死ぬのと、確率五分で命をルーレットにかけるか。俺はこのルーレットにかけるつもりだ」
「このお兄さんどっかぶっ飛んでるわね、姉様」
「そうね。」
仲よさげな顔でジャックの体にすがみついた。
「行くぞガキ共!ヒャハー!!」
「ひゃは~」
「ヒャホ~」
モヒカンマッチョが叫ぶみたいな掛け声でジャック達は飛び込んだむと水柱が上がる。
「本当に飛び込みやがった!!」
「ヒュ~、イカレているが中々ぶっ飛んだ奴だぜ」
後ろから強烈な熱風がチリチリと背中に当たり始める。
「畜生!」
「ジェロニモー!!」
覚悟を決めて金の入った鞄を担ぎながら二人も海に飛び込んでいく・・。
それから~数日後のラグーン商会の事務所
「ヘクション」
「あの時のずぶ濡れで風邪か、レヴィ」
「ロック、風邪何かよりもせっかくの10万ドルの金が海にしずんじまったんだよ。残ったのはパンツやポケットに詰めておいた分だけ、ボーナスがパー」
「いいじゃないかレヴィ、命があっただけでも。それに予定していた分の報酬以外にイエローフラッグで二日酔いするくらいジャックさんに奢ってもらったんだし」
「あいつどうしてんだろうな」
ロックとレヴィは空に浮かぶ雲の様に旅立った男の顔が浮かんだ。
あれから。
悪事の片棒を担いでいたチンは逃げようとした所を道に張っていた三合会に捕まり、ホテルモスクワの提供した爆薬で月までケツが吹き飛んだ。
ホテルモスクワや三合会は商売相手のチンやルアクやネオナチの連中が吹き飛べば、後の残党や雇われた殺し屋の処断は割と緩かった。
ヘンゼルとグレーテルの二人はジャックに雇われる形でロアナプラを離れた。
経費が予定よりかかったが、応酬品と一部書類の情報により不問となったが報告書をダース単位で書かされたのはゆうまでもない。
そして双子によりジャック・ドリフターズ(元オタクで元日本人)の苦労は重なる事となる。
作者のカキコミのコーナー
ヘルシングを持っていきながらかなり回り道だらけです。
ブラックラグーンの世界を抜け出した主人公ジャックは本来死亡予定のヘンゼルとグレーテルを自分の義理兄弟と引き取る事となります。
とりあえず主人公が大変な世界にばかりインテグラの命令により行かされます。
ちなみにヘルシングの時間帯は大体二巻の円卓会議の前辺り、円卓会議でインテグラが取り出したチップはジャックの手柄になっています。
婦警やアーカードが強力若本なアンデルセン神父と戦闘済みです。
おまけの一言
黒王「婦警の胸マジデカイ」