JAXA:通年ロケット打ち上げOKに

2010年7月29日 20時28分

 鹿児島県の宇宙航空研究開発機構(JAXA)種子島宇宙センター(南種子町)と内之浦宇宙空間観測所(肝付町)で、盛漁期を避けるため夏季と冬季の190日間に限られてきたロケットの打ち上げを通年で認めることで政府側と周辺5県の漁業団体が合意し、29日、鹿児島県庁で確認書に調印した。欧州宇宙機関(ESA)やロシア宇宙庁が占めてきた人工衛星の「打ち上げビジネス」に、日本も本格参入するための最大の障壁が取り除かれた形だ。

 種子島宇宙センターには国産主力ロケットH2Aと改良型のH2Bの発射場がある。打ち上げ期間の制限が撤廃されるのは69年に発射場が創設されて以来初めて。内之浦宇宙空間観測所には小型ロケットの発射場があり、小惑星探査機はやぶさもここから打ち上げられた。

 これまで、打ち上げは原則1月1日~2月28日と7月22日~9月30日の年間130日間に限られ、97年に特別枠(6~7月と11~12月の60日間)が追加された。しかし、打ち上げ期間が制限されていることで、悪天候による打ち上げ延期の足かせとなり、衛星の開発や打ち上げ受注に大きな支障を来していた。

 打ち上げ計画は、関係省庁でつくる「種子島周辺漁業対策協議会」と各県の漁業団体などの間で事前協議する。翌年度の計画についても新たに協議可能になった。漁業対策費(昨年度実績5県計12億円)も協議して決める。従来通り「年間17機以内」の機数制限は残るが、現状ではH2Aが年間3~4機、小型ロケットが2~4機で打ち上げ機会が増えても対応できる見通し。

 調印式に参加した中川正春副文部科学相は「ビジネスには通年化が最低条件。国民に広がる宇宙への夢を受け止めてもらった」と述べた。上野新作・同県漁業協同組合連合会長は「漁民の間に世界に羽ばたく日本のロケットを支援しようという意気込みがあった」と話した。【山田大輔、川島紘一】

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