この夏、国際援助団体が開いた世界の飢餓や貧困を考える子ども向けの行事に小学生の娘が参加した。夏休みの自由研究のテーマが見つかったと喜んでいたが、食べ物をめぐる日本人の不作法にはあらためて驚かされ、自省させられた。
娘の話を補えば、アジアやアフリカなどの途上国を中心に世界の九億人以上が飢えに苦しみ、毎日二万五千人が餓死している。五歳未満の子どもは六秒に一人が命を落としている計算だ。自然災害や紛争、病気などが背景にあるようだ。
日本はといえば、年間に消費する食料九千万トンのうち千九百万トンを捨てている。半分以上は食べ残したり、傷んだりした家庭の生ごみだ。世界の食料援助量六百万トンの三倍に上る。
飢餓や貧困にあえぐ大勢の人たちを尻目に、日本人は世界中から食べ物をかき集め、飽食の限りを尽くしている。そのくせ太って病気にならないようにと、金と労力をかけてダイエットに駆け回る異常ぶりだ。
娘は学んだ実態を図解にして学校に出した。不出来であれ、先生は活用してくれるかしら。「将来は困っている人を助ける」と誓ってくれた娘の心意気に敬意を表し、まずは父親から粗食を心掛けるとしよう。
国際社会は二〇一五年までに一日一ドル未満で暮らしたり、飢餓に見舞われたりしている人口の割合を一九九〇年比で半減させる約束でいる。悲しいかな、見通しは暗そうだ。(大西隆)
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