恒川先生からの手紙
テーマ:ブログ矢本英之先生
ご連絡ありがとうございます。返事遅くなりました。
西医体はどうでしたか?
今年は、OBカンパ、取りに来ないの?(笑)
さて、アメリカへの留学を希望されておられるとのことですね。
あまり参考になるか、わかりませんが、アドバイスをさせていただきます。
留学といっても、数年留学したいのか、あるいは、アメリカで医師として生涯暮らしていきたいと思っているのかで
少し状況が変わってくると思います。
また、専門科ごとに、トレーニングに要する期間が違うので、どこに自分の目標を設定するかが大きな問題になると思います。
まず、アメリカで医師として働くためには、アメリカの国家試験を受けなくてはなりません。
この試験をUSMLEといい、Step 1(基礎医学)、Step2(CK,CS)(臨床医学)、Step3(臨床医学)の計4回の試験に分かれています。
Step 2までの3試験をクリアすると、ECFMG certificateと呼ばれる資格を得ることができます。
この資格で臨床を行うことができます。
Step3をクリアすると、州ごとの医師免許を申請する資格が与えられます。(ただし、州によっては、1年以上のアメリカ国内での臨床経験を申請資格に付加していることがあります。)
さて、次に、何を目標に渡米するかですが、まず、アメリカに永住することを目標とした場合、各科ごとに設定されたレジデントプログラムに参加する必要があります。
私の場合、心臓外科では、5年間の一般外科トレーニング、3年間の胸部外科トレーニングを受けることになります。これらを終えたところで、心臓外科専門医試験(Board)を受験し、専門医となります。これではじめて一人前の心臓外科医と認められます。ここまで行けば、アメリカ国内の病院で仕事を見つけ、永住することは可能かと思われます。
内科、小児科などは3~4年のレジデントプログラムなのではないでしょうか?詳しくはいろいろ情報を集めてみてください。
外科系を目指すのであれば、どの科も一般外科トレーニングを要求されるので、一人前になるのに8年~10年くらいは必要と思います。
次に、数年のトレーニングであれば、各科ごとのフェローシッププログラムに参加するのが一般的です。
この場合、日本である程度、その科のトレーニングを受けた後に、スキルアップを目的に、数年留学する、というパターンになります。
私の場合、心臓外科医としての日本での基礎トレーニングを終え、学位を取得したのちに数年間のトレーニングを目的に留学しました。
フェローをしているうちに、アメリカに永住したくなった場合は、改めて一般外科、専門外科のレジデントを終える必要があります。
ただ、ごく稀に、フェローから、スタッフのポジションを得て、永住している先生もおられます。
と、いろいろ難しい話をしましたが、
初めの問題に戻りましょう。
アメリカに永住したいのか、それとも、トレーニングとしてなのか、それをまず考えてみてください。
そして、どの専門科に進みたいのかを学生時代、研修医時代に考えてください。
先生は、まだ20歳ぐらいですか?30歳くらいまでに、渡米されるのであれば、レジデントプログラムに参加して、アメリカで専門医を取得されてもよいかもしれませんね。
僕のように、”一度外国で暮らしてみたいなあ、”というくらいに思っているのであれば、その夢は、簡単に叶うので、あわてることはないと思いますよ。
さて、USMLEをいつ受けるかですが、Step 1だけは、学生時代に受かっておくといいと思います。あまり忙しくない4,5年生のころに1年くらい勉強すれば簡単に受かります。
詳しくはFirst aidという教科書、KaplanあるいはUSMLE worldなどのネット問題集が役に立ちます。
勢いがあれば、国家試験の直後に、Step2を受けるのもいいかもしれません。国試の後、2か月くらいネット問題集をやれば受かりますよ。
そのあとは、医者をやりながら空いた時間にべんきょうするのがいいんじゃないですか?
永住するにしても、どっちにしても、日本で4~5年は、働いた方がいいと思います。慣れない仕事を慣れない言葉で始めるのは大変なので、ある程度、医者としての能力を日本で培っておいた方が、こっちに来た後、幾分楽だと思います。
あまり長々と書いても、読むのに疲れると思いますのでこれくらいにしておきますが、最後にラグビー部の先輩として、アドバイスさせてもらいます。
まず、今は、大学生のするべきことを、思う存分してください。学生時代の経験は、一生ものです。今しかできないですよ。
なので、まずは、ラグビーに熱中してください。バイトにも精を出してください。恋愛も3回くらいしてください。授業は、そこそこ頑張ってください。
それで、余力が残ってたら、英語の勉強をしてください。また、アメリカという国を知るためにも、1か月くらいかけてアメリカを旅してみるのもいいと思います。
意外と、好きになれない国かもしれませんよ。
私は、2012年の夏まで、ユタ州のソルトレークシティにいます。ラスベガス、グランドキャニオン、ロスなどとからめて遊びに来られてはいかがですか?
大歓迎しますよ。
では、まずは、来年の西医体、頑張ってください。
メールはいつでも大歓迎です。質問があれば、遠慮なく連絡してください。
恒川智宏
恒川 智宏先生
拝啓 初秋の候、ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
平素は格段のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。
この度は、お忙しい中、私めの私的内容でこのような形で連絡差し上げるご無礼をお許しください。名古屋大学医学部ラグビー部2年(S2)の矢本英之(やもとひでゆき)と申します。私、不肖ながら、アメリカ留学およびアメリカで医学を学ぶことに興味があります。先生のご記憶には無いでしょうが、昨年の「OB総会」後の二次会(当時は新入生でした)で、恒川先生のお話をお伺いし深く感銘を受けたと同時に、身近に自分の理想像となる先生がいらっしゃることを非常にありがたく思いました。もしも、先生のご都合が宜しければ、ご帰国の際に色々とお話を聞かせて頂ければ、と思いメールを差し上げました。失礼でなければ、ご帰国の予定を伺っても宜しいでしょうか。
今後ともご指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申しあげます。
敬白
平成21年09月08日
矢本英之
1 ■じゃぱにーず
連絡やメールって「させて頂く」じゃないかなあ??
ところどころ敬語が気になるよ~(´Å`)笑