余録

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余録:中国の日本国債投資

 中国が日本の国債を大量に買っている。それが最近の円高の原因のひとつだという。野田佳彦財務相は迷惑顔だ。「中国は日本の国債を買えるのに日本は中国国債を買えない」とぼやいた▲中国は日本の国債だけでなく韓国の国債も買っている。日本同様、韓国も警戒気味。中国の外貨準備は日本円換算で200兆円以上。米ドルだけでなくほかの通貨にも分散してリスクを減らそうとしている。それは分かっているが何となく気味が悪い▲日本政府は円高にたまりかねてついに伝家の宝刀を抜いた。6年半ぶりの市場介入で円安に誘導した。日本政府をみくびっていた市場はびっくりして少しおとなしくなった▲心配していた米国や欧州から公式の批判はなかった。国際非難にさらされれば、介入効果はたちまち霧散することだろう。財務省は事前に主要国に根回しして了解をとるのに汗をかいたと聞く。そのかいあって今回は目こぼししてもらうことができた▲しかし、中国が日本国債を買うのを迷惑がるのは少しヘンだ。外国の政府が日本の国債を買ってくれるのは日本を信用している証拠。悪いことではない。政府が出す国債の95%は日本人が買う。中国が買ってくれなくてもだいじょうぶだ。しかし、それがよいことかどうか▲いまは国債暴落の心配は小さいが、将来は分からない。日本人だけでその危険を負担せず、外国人にも分担してもらった方がいいのである。米国発の金融危機で米国の金融機関は大ケガをした。しかし、何とか生き延びた。それは損を米国だけでなく世界中でかぶってもらったからだ。中国の日本国債投資を嫌う必要はない。

毎日新聞 2010年9月20日 0時07分

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