16日に心不全のため死去した小林桂樹さんは喜劇映画「社長シリーズ」(1956年〜71年)の全作に出演。主演の森繁久彌さん演じる社長の頑固な秘書役で人気を博した。同シリーズで、小林さんの恋人から妻となる役を演じた女優の司葉子(76)は18日夕、映画関係者から聞いた小林さんの突然の訃報に驚いたといい、デイリースポーツの取材に「誠実で温かくて面白くて…模範の夫でした」としのんだ。
「社長シリーズ」の撮影現場での小林さんについて、司は「森繁さん、三木のり平さん、フランキー堺さんら喜劇人が自由な発想の演技をする中で、小林さんが要のまとめ役。父親のような、こちらが何もしなくても安心できる存在でした」と振り返った。
成瀬巳喜男監督、小津安二郎監督ら巨匠の下でも共演した“戦友”でもあり「喜劇からシリアスまで、何でもこなせる芝居の職人。小林さんほど多くの作品に出られた方はいないのでは」とたたえた。
最後に会ったのは09年の成瀬監督の命日に、都内で開かれた食事会。「お体が弱っていらしたが、楽しく昔話に花を咲かせました。森繁さんも三木さんも、みんな天国に行っちゃって寂しくなりますね」と声を落とした。
(2010年9月19日)
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