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名優・小林桂樹さんが心不全で死去

 小林桂樹さん
 小林桂樹さん

 映画、テレビで活躍した俳優の小林桂樹さんが16日午後4時25分、心不全のため、東京・港区の病院で死去していたことが18日、分かった。86歳だった。葬儀、告別式はこの日までに近親者のみで済ませた。後日、お別れの会を開く予定。所属事務所によると、7月に入ってから体調を崩し、肺炎の疑いで入院していたといい、最期は家族に見守られて息を引き取ったという。

  ◇  ◇

 名優がひっそりと帰らぬ人となった。小林さんは7月に体調を崩し、肺炎の疑いで入院。年齢もあって症状は徐々に悪化し、退院することはなかった。事務所によれば、2年半前に夫人に先立たれているといい、別の親族にみとられたという。

 入院の事実も周囲にはほとんど知らせていなかった。17、18日で済ませた葬儀はごく身内で営まれ、事務所関係者も詳細は把握していないとした。小林さんは08年、女優・八千草薫(79)の仲介で、八千草と同じ現事務所に所属。長い付き合いという八千草は、盟友の訃報(ふほう)にショックを受けており、コメントを出せる状態ではないという。

 群馬県出身の小林さんは42年に日活で映画デビュー。51年「その人の名は言えない」に千秋実さんの代役として出演、翌年東宝入りした。「ホープさん」で見せたユーモラスで明るいキャラクターで注目され、森繁久彌さんの「社長」シリーズにもレギュラー出演し、人気を得た。

 誠実で平凡なサラリーマンの哀歓を巧みに演じ、東宝映画の看板スターに。群馬交響楽団の苦闘を題材にした「ここに泉あり」、天才画家・山下清を演じた「裸の大将」、山口瞳原作の「江分利満氏の優雅な生活」などが代表作。脚本家・松山善三氏の初監督作品「名もなく貧しく美しく」では、高峰秀子さんを相手役に逆境を生きる夫婦愛を演じ、シリアスなドラマでも新境地を開いた。

 テレビでもNHK大河ドラマ「勝海舟」やドラマ「赤ひげ」などで活躍。社会派ドラマからコメディータッチの作品まで、幅広く活躍した。遺作となったのは09年の映画「星の国から孫ふたり」。テレビは、07年6月放送のテレビ朝日系で主演した土曜ワイド劇場「牟田刑事官事件ファイル33」だった。

 7月の入院まで、身の回りのことは1人でこなしていたという。しかし、高齢で地方ロケなどが厳しいため、2年前から所属した事務所では主だった仕事はなかった。昭和の重鎮がまた1人、静かに天国へ旅立った。

(2010年9月19日)

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