不眠症とは、「布団に入っているものの、なかなか眠れなくてつらい」という状態のことです。そのために、日中にだるさを感じたり、いらいらしたり、仕事や家事の能率が上がらないといった不調が起こります。ほうっておくと、「高血圧」「糖尿病」「うつ病」が起こりやすいこともわかっています。不眠症は、眠れない状況によって、「入眠障害」「中途覚醒(かくせい)」「早朝覚醒」の3つのタイプに分けられます。治療では、生活習慣を改善するとともに、睡眠薬を活用して眠れるようにすることが大切です。
睡眠薬の作用と使い分け
睡眠薬には、主に「ベンゾジアゼピン関連物質」と「メラトニン関連物質」があります。現在、主に使われているのがベンゾジアゼピン関連物質で、脳の活動を鎮めることで睡眠に導く作用があります。また、緊張している筋肉を緩めたり、不安を軽減したりする作用もあります。ベンゾジアゼピン関連物質は、薬の作用時間が「短い」「中くらい」「長い」ものの3つに大きく分けられます。入眠障害の場合は作用時間の短い薬(効果が2〜3時間ほど)、中途覚醒の場合は作用時間が中くらいの薬(3〜5時間ほど)、早朝覚醒の場合は作用時間が長い薬(6〜8時間ほど)、とそれぞれ使い分けられています。
メラトニン関連物質には、2010年7月から使われるようになった「ラメルテオン」があります。これは、体の中心部の温度を下げ、体全体を眠りにつきやすい状態にして自然な眠りに導くもので、入眠障害に対して効果があります。
睡眠薬を服用する場合に
ベンゾジアゼピン関連物質を服用した場合に、ふらつきやつまずき、起床したとき頭がぼんやりすることなどがあります。薬の作用が強すぎることや作用時間が長すぎることが考えられるので、担当医に相談しましょう。また、「記憶が抜ける」場合もありますので、お酒とは決して一緒にのまないようにし、必ず決められた時間に服用します。市販されている「睡眠改善薬」は、睡眠薬とは作用が違い、不眠症の治療には向きません。現在使われている睡眠薬は、基本的に安全です。不眠症が疑われる場合は、まずかかりつけ医に相談しましょう。