武蔵村山市の市道にロープを張り、バイクの女性を転倒させて重傷を負わせたとして、傷害と往来妨害の罪に問われた米兵の子の無職少年(19)の論告・求刑公判が17日、地裁立川支部(福崎伸一郎裁判長)であり、検察側は懲役2~3年の不定期刑を求刑した。弁護側は共犯の3少年が家裁送致されていないことから少年の起訴を「違法」と主張、公訴棄却の判決などを求め結審した。
検察側は論告で、少年が暗い道路で、危険性を認識しながら強度の高いロープを張ったと指摘。共犯少年については、米軍人の家族で帰国が予定されており、現実的には保護処分が難しいために裁判権を放棄したもので「違法性は無い」と弁護側の主張に反論。その上で「被害者が厳罰を望んでおり、地域に与えた影響も大きい」と指弾した。
弁護側は「検察官が作為的に、少年1人に罪を負わせるストーリーを作り上げていた」と指摘。「日米地位協定に伴う密約に基づき少年1人だけが家裁送致される違法・無効な送致決定で、起訴はその違法な送致に基づく」として公訴棄却を求めた。また起訴が有効の場合でも、少年には傷害を負わせる故意がなくただのいたずらにすぎなかったとして「保護処分が相当で家裁に再送致すべきだ」とも主張した。
少年は「被害者と彼女の家族の皆様に心よりおわびします。しかし本当に、傷つけるつもりはありませんでした」と謝罪。被害者の代理人弁護士は「単なる『遊びの延長』ではない。懲役3~5年が相当」と主張した。判決は11月12日に言い渡される。【池田知広】
〔都内版〕
毎日新聞 2010年9月18日 地方版