日本のヤフー:グーグルと提携発表 検索・ネット広告事業

2010年7月27日 21時42分 更新:7月28日 1時12分

会見で記者の質問に答えるヤフーの井上雅博社長(右)。左は梶川朗最高財務責任者=東京都中央区で2010年7月27日午後3時26分、西本勝撮影
会見で記者の質問に答えるヤフーの井上雅博社長(右)。左は梶川朗最高財務責任者=東京都中央区で2010年7月27日午後3時26分、西本勝撮影

 日本のインターネット検索最大手のヤフーは27日、ネット検索世界最大手の米グーグルと検索・ネット広告事業で提携すると正式発表した。グーグルから検索エンジンと検索に連動する広告配信システムの提供を受ける。ヤフーの筆頭株主のソフトバンクは、米アップルから「iPhone(アイフォーン)」などの人気商品の提供も受けて、業績を伸ばしている。自前にこだわらず、米有力企業との提携で成長路線をひた走ろうとするソフトバンクグループのしたたかな戦略だ。

 「日本でのサービスの利便性や成長性を総合的に判断した結果で、最適の選択だ」。この日、東京都内で会見したヤフーの井上雅博社長はそう説明した。

 日本のヤフーは96年に米ヤフーとソフトバンクが設立したが、米ヤフーは第2位の株主で、ヤフー会長の孫正義氏が社長を務めるソフトバンクの影響力が大きい。しかも、米ヤフーはグーグルに苦戦しており、日本のヤフーが、グーグルの検索技術を取り込めば、利用者の拡大が見込める。また、ソフトバンクモバイルは、アップルのアイフォーンや「iPad(アイパッド)」を日本市場に投入し、携帯端末事業で躍進している。

 孫氏は6月のソフトバンクの株主総会に合わせて「30年後にソフトバンクの株式時価総額200兆円(現在は2・7兆円)」との壮大なビジョンを打ち出した。井上社長は「孫会長も『(グーグルとの提携は)ヤフーの将来にとって一番いいだろう』と賛成した」と明かし、携帯電話とネット事業の強化を推し進めていく構えだ。

 ヤフーは04年から米ヤフーの検索エンジンを採用してきた。米ヤフーは09年、米マイクロソフト(MS)と提携し、MSの検索エンジンとの統合を進めている。しかし、井上社長によると、MSの検索エンジンは日本語でサービスを提供する準備がまだ整っておらず、グーグルとの提携を選んだという。

 ヤフーは年内にも検索エンジンをグーグルからの提供に切り替え、その後、グーグルの成長を支えてきた検索連動型広告配信システムに乗り換えて、広告でも売り上げを伸ばしたい考えだ。

 ヤフーによると、日本の検索市場シェアは、ヤフーが約58%、グーグルが約38%で、今回の提携でグーグルの検索エンジンが日本市場をほぼ独占する。一方、ヤフーは、ネット上のオークションで随時更新している商品の販売データなどをグーグル側に提供する。

 日本のヤフーは「事前に日本の公正取引委員会に相談し、(独占禁止法で)問題ないことを確認している」と説明しているが、日本で利用者が入力する検索キーワードの多くがグーグルに渡って、情報が集積されることになり、ネット検索でのグーグルの独走を後押しすることにもなる。

 ソフトバンクは06年、英ボーダフォン日本法人を1兆7500億円で買収し、携帯電話事業に参入したが、有利子負債も2兆円を超えた。負債返済を優先して、携帯基地局の整備に資金を十分回さず、通信網が劣っており、成長戦略には危うさもつきまとう。【望月麻紀、和田憲二】

 ◇検索エンジン◇

 インターネット上に存在する情報のうち、目的とする情報を掲載するウェブサイトをキーワードなどを使って検索するプログラムで、ネットサービスの中核技術。当初はサイトを人手で分類する「ディレクトリー型」が主流で、ヤフーが代表的だったが、現在は専用ソフトがサイトを自動的に巡回して多数のデータを効率よく収集する「ロボット型」が主流。

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