2010年7月27日 0時7分 更新:7月27日 1時24分
宮崎県は27日、家畜伝染病・口蹄疫(こうていえき)の防疫対策のため宮崎市の発生農家を中心に残っていた最後の移動・搬出制限区域を解除した。これに合わせ、東国原英夫知事は同日午前0時、県庁前で会見し、「県内全域がこれまでのような危機的状況から脱したと判断した」と述べ、発生地域の住民に外出自粛などを求めた非常事態宣言を全面解除した。
牛や豚などの殺処分が約29万頭に上り、地域経済や住民生活に多大な影響を及ぼしながら発生確認から98日間にわたった口蹄疫は事実上の終息を迎える。
なお、ウイルスを含むとみられる家畜の排せつ物を堆肥(たいひ)にして無害化する期間を考慮し、県の最終的な終息宣言は来月27日となる見通し。今後は深刻な打撃を受けた畜産農家の再建や地域経済の復興への支援が急務の課題となり、その取り組みが本格化する。
東国原知事は未明の会見で「懸命の防疫作業や県民の協力、国や県内外の多くの支援に感謝したい。畜産の再生、経済の復興に向けて県民が一丸となって取り組まなければならない」と述べた。
県では4月20日、都農(つの)町の農家の牛に10年ぶりに口蹄疫の感染疑いを確認。その後の殺処分・埋却の遅れから感染は川南(かわみなみ)町など県央部を中心に5市6町に拡大した。東国原知事は5月、非常事態を宣言。不要不急の外出自粛やイベント延期などを求めたため、県民生活をはじめ観光や商工業への風評被害など大きな影響が出ていた。
感染または疑い、拡大を抑制するためにワクチン接種した家畜の殺処分は先月30日でいったんすべて終了。今月4日、宮崎市で清浄性確認調査中に発症が確認されたのを最後に、感染確認は途絶えていた。【石田宗久】