2010年7月22日 19時43分
石川県白山市の角(かど)光雄市長が地元神社の関連行事で祝辞を述べたのは、政教分離の原則を定めた憲法に違反するとして、住民の男性が行事出席に伴って支出された公費1万5800円の返還を求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は22日、違憲とした2審判決を破棄し、男性の請求を棄却した。判決は「祝辞は宗教的色彩を帯びない儀礼的行為の範囲にとどまる」と合憲判断を示した。市側の勝訴が確定した。
小法廷は「宗教とのかかわり合いを持つことは否定できないが、市長は地元の観光に尽力すべき立場にある」と指摘。政教分離訴訟の最高裁判例(77年)に沿い「祝辞は社会的儀礼を尽くす目的で行われ、特定宗教への援助になる効果もない」と合憲判断した。
角市長は「当初からの市の主張を適切に判断した妥当、正当な結論だ」とのコメントを出した。【伊藤一郎】