【ルポ】豆満江周辺で進む国際的な経済協力(下)

中国吉林省の図們市と、豆満江の対岸にある咸鏡北道南陽市をつなぐ図們大橋。中国と北朝鮮の国境地帯を示す表示版の向こう側には、橋の上に立つ観光客の姿が見える。中国と北朝鮮は、図們と南陽の間で双方の住民が無関税で貿易を行うことができる「互市」の開設に向け協議を行っている。/図們=池海範(チ・ヘボム)記者

■北朝鮮が協力する可能性も高い

 これまで北朝鮮はあいまいな態度を取ってきたが、金正日(キム・ジョンイル)総書記による2回の中国訪問をきっかけに、交流協力の可能性が高まっている。8月末の訪中の際、金総書記は胡錦濤国家主席との夕食の席で、「中国東北部は朝鮮との国境に接しており、山河の様子も非常によく似ているほか、工業面での構造も近い。朝鮮は東北部との交流協力を強化し、中国のやり方と経験を徹底的に研究する」と発言した。金総書記が今回訪問した地域(長春、吉林、延辺、図們)も、長吉図計画の地域と一致する。中国訪問を終えて北朝鮮に戻る際、図們で列車を降りた金総書記は、中国側の関係者に対し、「この地域には高い関心を持っている。また会おう」と語りかけたという。

 北朝鮮は今年1月にも羅先(羅津・先峰)市を特別市に昇格させ、中国の長吉図計画との連携に含みを持たせた。同月2日に長春で開催された第6回東北アジア貿易博覧会には、北朝鮮の具本泰(ク・ボンテ)貿易次官が出席し、「羅先特区を加工貿易と中継貿易専門の国際貿易区として育成したい」と発言した。これについて延辺大学東北アジア研究院の金強一(キム・ガンイル)院長は、「中国政府はまず北朝鮮との協力関係を発展させ、そこで成果が出れば、これを基盤に多国間協力を進める方針だ。最近は中国も、北朝鮮からの協力を得られる可能性が非常に高まっていると判断している」と述べた。長吉図計画と羅先特区との連携によって、シナジー効果を引き出すことができれば、韓半島(朝鮮半島)北部に大きな変化がもたらされることも考えられる。

■中国は交通網や工業地区を大幅に拡充

 中国が最も力を入れている分野は交通網の整備だ。ちなみに最近、琿春はお祝いムードに包まれた。2007年から工事が進められてきた琿春-図們間の高速道路(約60キロ)が開通したのだ。これにより、激しい砂ぼこりが舞い上がる豆満江沿いの旧道を利用する必要がなくなった。琿春から吉林省の長春までは583キロあるが、これが従来の8時間から4時間半に短縮された。また、高速鉄道の工事も始まっている。延辺朝鮮族自治州政府対外貿易発展処の李勇男(イ・ヨンナム)処長は、「時速350キロで長春-琿春をつなぐ高速鉄道の工事が今年6月から始まったが、まずは長春-吉林区間で、2014年の完成を目指している。高速鉄道が開通すれば、すでに開通している長春-北京間の高速鉄道と連結させ、北京から琿春までを半日で移動できるようになる」と述べた。

 延辺科学技術大学副総長で東北アジア共同体研究会のイ・スンリュル会長は、「韓国企業も長吉図地域に積極的に進出し、北朝鮮との協力関係が深まれば、結果的に北朝鮮を超国境経済協力ベルトに引き入れることができる。長い目で見れば、統一にも有利に作用するだろう」との見解を示した。

延吉・図們・琿春・長春=池海範(チ・ヘボム)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る