【ルポ】豆満江周辺で進む国際的な経済協力(中)

中ロの関門。中国とロシアの国境地帯に位置する豆満江下流の都市、吉林省琿春の入国管理局の前に、観光客を乗せたバスが停車している。中国政府は中国、北朝鮮、ロシアの3カ国が国境を接するこの地域を新たな経済成長地域とする「長吉図(長春・吉林・図們)計画」を進めており、観光および経済開発ブームが起こっている。/琿春=池海範(チ・ヘボム)記者

■北朝鮮に向かう観光客、昨年に比べ大幅増

 延吉にある白山ホテル直営の旅行会社に勤務する高宇さんは最近、北朝鮮関係の仕事で大忙しだ。毎日早朝から、1泊2日の日程で北朝鮮の羅津・先峰に向かう団体客(15人)を案内しているからだ。高宇さんは「朝鮮(北朝鮮)に観光で訪れる旅行客は、昨年に比べ大幅に増えた。だが羅津・先峰へのツアーは、価格(800人民元=約1万160円)の割りに、あまり見学するものがない。せいぜい海上革命史跡地や農産物市場、少年宮学生舞踊といった程度だ。しかし今年に入ってからは、一般の観光客だけでなく、香港や広東省などの企業関係者も北朝鮮に関心を示している。これは、昨年8月末に中国政府が『長吉図(長春・吉林・図們)開発計画』を発表したためだ」と語った。豆満江下流にある中国・北朝鮮・ロシアの国境都市はにぎわっている。この地域は北東アジアの辺境という地理的な要因に加え、3カ国の戦略的利害が絡み合う政治的な要因により、長い間放置されてきた。しかし昨年、中国が長吉図計画を発表したことから、「国境を越えた経済協力地帯」として新たに生まれ変わりつつある。

■「超国境経済協力区」を目指す中国の長吉図計画

 昨年8月30日、延辺朝鮮族自治州では万歳の声が上がった。中央政府の国務院が、「長吉図を開発先導区とする中国の豆満江区域合作開発計画要綱」を正式に批准したからだ。延辺の朝鮮族は、朱鎔基首相の時代にこの計画が拒絶され苦い経験を味わった。そのため朝鮮族の人々は、「ついに絶好のチャンスを手にした」として、今回の決定を喜んだ。長吉図計画とは、北京、上海、広東省などに比べ開発が遅れていた東北部の古い工業地帯のうち、最も奥まったこの地域を国際産業都市として開発し、新たな経済成長を目指す国家プロジェクトだ。事業が終了する2020年までに、この地域の国内総生産(GDP)を現在の4倍にまで引き上げるのが目標だ。もちろん、今まで豆満江の開発計画がなかったわけではない。冷戦が終わった1991年には国連によって中国、北朝鮮、ロシアの3カ国共同開発計画がスタートしたが、3カ国の利害が一致しなかったほか、北朝鮮とロシアに投資の余裕がなく、進展しなかった。

 しかし、今回は状況が異なる。中国の開発意欲はこれまで以上に強い。

 中国商務省の易小准次官浦は今月1日、長春貿易博覧会の際に開催された「大図們提案会議」で、「豆満江流域における経済発展の潜在力は非常に大きい。現在、この地域で行われている辺境貿易だけでは、協力の需要を満たすことができないため、超国境経済協力区の設立を前向きに模索しなければならない」と述べた。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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