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【コラム 私は見た!】

大関陣好調だが、魁皇が…

2010年9月19日

 白鵬は常とまったく変わらない動きと表情を土俵上で見せていたが、やはり表に見せない緊張があったのだろう、いつもの融通むげな勝負のつけ方とは違ったところを見せてしまった。

 総体的な印象として、どこかバタバタしたものを感じさせる結果になった。右を差して出ようとした形は良いのだが、少しその攻めに拘泥していたと思える。もっとも、それが分からないではない。この攻める形が、白鵬の意図から出たもので、低く低く攻め勝負を進めようというところから、こうなってしまったものなのだろう。だが、いつもの白鵬の相撲には、状況次第でいつでも自在に転変する余裕が見られるのに、少々窮屈なものになったことは確かである。

 それが勝負が決着した後の、白鵬の苦笑につながっていたのだろう。私はバタついた相撲になったとの印象を受けたと同時に、この一番の背景にあるものを思い出していた。稀勢の里はこの対戦までの実績をして四勝十九敗である。これは対戦歴を持つ力士の中で、抜群に良い。その上に、七日目の一番には、千代の富士の無敗記録を抜き去ろうかというファンの期待がかかっていた。

 白鵬に、そういった状況からくる心理的な圧力は、かなり重いものだと考えられる。昨日、私はあとは淡々たる道が開けると書いたが、考えてみれば、無責任なやじ馬のたわ言だったのかも知れない。七戦全勝の琴欧洲をはじめ、大関陣の健闘が目立つ場所だが、ファンの熱烈な支持を持っている魁皇が、どうももうひとつ元気が出ない。というより、陥落という地獄の門が次第に近づいてきてしまった。

 これまでは厳しい成績に落ちこんでも、なんとかそこから脱出して来たのだが、今度はけがという足がらみもあって、あと五番勝たなければならない肩の荷が、相当に重い。琴奨菊戦でも、まわしに手も届かないような完封の相撲を取られてしまった。あと星ひとつという急場をなん度となくきり開いた大関なのだから、今回も…と祈っているが…。

 把瑠都の相撲が日ごとに良くなっている。七日目の栃ノ心も攻めのノドワの形といい、相手にまわしを与えない攻撃といい、相撲に鋭さが増してきた。これで、勝負の結果にもっと執念を燃やすところが出てきてくれれば、文句を言うところもないのだが。 (作家)

 

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