ドイツでは、メルケル政権が前のシュレーダー政権による脱原発の決定を軌道修正し、今ある原発の稼働期間を平均で12年間延長する方針を示したことに対し、これに反対する市民が方針の撤回を求めて大規模な抗議デモを行ないました。
ドイツでは、前のシュレーダー政権がすべての原発の運転を2022年頃までに停止するとした脱原発法を定めていますが、今月メルケル政権は、原発に代わる風力や太陽光などの再生可能エネルギーの普及が追いついていないとして、この法律を改正し、今ある17の原発の稼働期間を平均で12年間延長する方針を示しました。これに反対する反核団体や環境保護団体などが18日、首都ベルリンで抗議のデモを呼びかけ、およそ10万人の市民が参加しました。参加者らは「原発を今すぐ停止せよ」と書かれた横断幕やプラカードを掲げながら首相府や連邦議会を取り囲むように中心部の通りを行進しました。参加した市民たちは「政府が電力業界に取り込まれるなんて信じられません」とか、「再生可能エネルギーを促進していけばエネルギーは十分なはずです」などと話していました。ドイツでは1986年に旧ソビエトで起きたチェルノブイリ原発事故以降、原発への反対意見が根強く、今回の法律改正の是否をめぐっても社会を二分する大きな議論となっています。