【北京・椛島滋】日本の漫画家たちが終戦前後の体験を描いた漫画やイラストを展示する「私の8月15日展」が18日、北京市郊外の盧溝橋にある中国人民抗日戦争記念館で開幕した。中国漁船衝突問題で反日機運が高まる中、開幕式には村山富市元首相ら両国関係者が出席、草の根交流の重要性を再確認した。
同展は、作家の石川好さんが「民衆レベルの戦争体験を共有し、相互理解を深めよう」と呼び掛け、日本の100人の漫画家が参加。昨年は8月15日から江蘇省南京市の南京大虐殺記念館で行われ、今回は満州事変の発端となった柳条湖事件が起きた9月18日に合わせた開幕となった。
会場には、爆撃を受ける日本の部隊の様子を生々しく描いた水木しげるさんの作品や、ちばてつやさん、松本零士さん、今長谷はるみさんらが自分の体験を元に描いた124点が展示された。
開幕式では、抗日戦争記念館の沈強館長が「この漫画展を通じて、来館者に平和の大切さを再認識してほしい」とあいさつ。石川さんは「漁船衝突問題があっても、無事に開幕できた。言葉や人種を超える漫画の力だ」と話した。開催は3カ月間の予定。
=2010/09/19付 西日本新聞朝刊=