白鵬、千代超え「すいません」５４連勝…秋場所７日目

連勝を単独２位の「５４」に伸ばし、土俵上で笑顔を見せる白鵬

　◆大相撲秋場所７日目　○白鵬（押し出し）稀勢の里●（１８日・両国国技館）　横綱・白鵬が千代の富士を超える５４連勝を達成した。小結・稀勢の里を押し出しで破り、千代の富士（現九重親方）が８８年九州場所で記録した５３連勝を抜いて昭和以降で歴代単独２位となった。次の目標は角聖とうたわれた昭和の大横綱・双葉山の６９連勝。果てしない夢へ白鵬の新たな挑戦がスタートした。

　大横綱を抜いた瞬間、白鵬が土俵上で笑った。今場所初めて満員御礼となった館内が大歓声で揺れる中、喜びをかみしめた。千代の富士を抜く５４連勝。「これで（九重）親方に恩返しができた。ちょっとよくやったというか。ここまで早かったような、長かったような。そんな気持ち」と感無量の表情を浮かべた。

　冷や汗ものの記録更新だった。右で張って出たが稀勢の里は下がらず、白鵬はまわしが取れない。いなされて横綱の体がよろける。すぐに体勢を立て直すと、いなして崩し土俵外へ押し出した。「ヒヤッとした感じは、ありましたね」と照れ笑い。その中での白星に「足はそろっていたけど、すぐに仕切り直せた。今場所は下半身が安定している」とうなずいた。

稀勢の里（左）を押し出しで下す

　これで昭和以降、単独２位。次の目標は、あこがれの双葉山の６９連勝だ。伝説の領域に足を踏み入れた白鵬を、双葉山の故郷、大分・宇佐市に招待する計画が浮上している。双葉山の生家や資料展示室がある「双葉の里」の新貝文俊館長は「来年冬の生誕１００周年のイベントの時には、白鵬関を呼ぼうという計画があります」と明かした。さらに、次の九州場所で６９連勝を達成した場合には「呼んだ方がいいのでは、という話も出ています」と話した。

　打ち出し後には、支度部屋の外で待っていた九重親方（元横綱・千代の富士）が拍手で迎えてくれた。握手を交わすと白鵬は「すいませんでした」と一言。同親方は笑顔で「おめでとう。これから一番一番頑張って」と激励した。横綱は「親方の目、潤んでたね。うれしいのか悔しいのかどっちだったのかな。改めて親方の偉大さが分かった」と感慨深げだった。

　放駒理事長（元大関・魁傑）は「すべて完ぺきではないけど、こういう相撲を勝ってるから達成できた。今後も伸びるような気がする」と期待した。関係者によれば、父・ムンフバトさんも今場所終盤に来日する予定だという。この日の朝げいこ後には、６９連勝について「こうなると、それしかないんじゃないかな？」と宣言した白鵬。伝説の記録まで突き進む。

　デーモン小暮閣下「双葉山の６９連勝は、丸３年間勝ち続けた数字だ。むろん単純比較はできない。いずれにせよ、白鵬には丸３年間勝ち続けるつもりで臨んでもらいたい。まだまだ始まったばかり。『これからが本当の戦いだ！』と伝えたい」