琴欧洲によりきりで敗れ、白鵬(右奥)の横を力なく土俵を降りる稀勢の里(撮影・出月俊成)
「大相撲秋場所6日目」(17日、両国国技館)
7日目(18日)に「54連勝」のかかった白鵬の大一番で相手を務める稀勢の里は「どっちにしろ、勝てない」と早くも“白旗宣言”だ。
この日の琴欧洲戦では簡単にもろ差しを許し、寄り切られる完敗。支度部屋に戻ると消え入るような声で「やられた…」と独り言。「何も言うことはないです」と15分間も、無言のまま頭を抱え、右手で顔を覆い、放心状態で「ハァ〜」と深いため息をつくなど、重苦しい空気が流れた。
国技館を出ても追いすがる報道陣に、稀勢の里は「今日の相撲(内容)じゃ(白鵬には)勝てない」と言葉を絞り出した。対戦成績は4勝19敗。08年秋場所5日目に押し出しで勝って以来、2年間で10連敗中だ。
「自分ができることをしっかりやるだけ」。先場所は土俵際に追い詰めて“惜しい”場面も見せた。相撲史に名を残すにはイチかバチかの開き直りしかない。
(2010年9月17日)