2010年9月19日1時6分
大阪府箕面市が出資する社会福祉法人「あかつき福祉会」のケアホームで、介護職員が7年間にわたって、糖尿病の男性入所者に、無資格でインスリンを注射する医療行為をしていたことが府の調査でわかった。医師法などに違反する可能性があるとして、府は近く施設の立ち入り調査をする方針。
箕面市によると、介護職員は2003年1月から、1型糖尿病の30代の男性に1日2回、インスリン注射をしていたという。
医師法などは、原則として医療行為は医師や看護師らに限定している。1型糖尿病の患者は毎日、注射をする必要があり、医師らから指導を受けた患者やその家族については注射が認められている。男性は自分で注射できるよう練習したがうまくいかないことが多かったため、やむを得ず介護職員が注射していたという。
介護職員の医療行為をめぐっては今年4月、厚生労働省が特別養護老人ホームに対し、たんの吸引や、チューブから胃に流動食を入れる「経管栄養」について一定の条件下で認めると通知。今後は障害者施設の介護職員らにも対象を拡大する方向で検討が進められている。一方で、インスリン注射については依然として対象外で、現場からは「解禁」を求める声が根強いという。
今回のケースでは、法人側が8月に男性の処遇をめぐって市に相談。やはり問題だとして、今月3日に家族に自宅に引き取ってもらったという。府福祉部の担当者は「入所者の生活を支えるうえで緊急避難的にしていたかも知れないが、長期間続くとやはり問題になる」としている。