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田中さん母ガックリ号泣、民事で仇討ちへ

2010年9月18日

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 俳優押尾学被告(32)が合成麻薬MDMAを一緒に服用した飲食店従業員の田中香織さん(享年30)を救命しなかったとして、保護責任者遺棄致死罪などに問われた裁判員裁判の判決公判が17日、東京地裁で行われ、田中さんの両親が傍聴した。両親はこわばった表情のまま、開廷直前に法廷に入った。押尾被告が入廷すると、父親は同被告を一瞬見つめたが、同被告はその視線を合わせることはなかった。

 懲役2年6月。娘を亡くした両親にとっては、“軽い”と言わざるを得ない判決だった。裁判長が判決を読み上げると、母親は視線を下に落とし、持っていた白いタオルをギュッと握りしめた。

 裁判長が同被告について「隠滅工作に及んでおり、そのため、本件の真実発見が困難になったという面も否定できず、犯行後の情状ははなはだ不良である」と評した瞬間、母親の目から涙がこぼれた。父親は顔を真っ赤にしたまま、裁判長を見つめ続けた。

 裁判の過程で、押尾被告の自己保身に走った行為が明かされていった。それだけに、両親は10日の第5回公判でそろって証言台に立ち、「重い刑を」と訴えていた。父親は「死人に口なしで香織に責任を押し付けることは、絶対に許せません。最高の刑で償ってほしい」。母親は「娘の人生に残されたであろう時間と同じくらい長い刑と重い刑を」と涙ながらに訴えた。

 押尾被告はこの日も、最後まで両親と視線を合わせることはなかった。判決公判終了後、両親は無言のまま足早に退廷した。両親は同被告や元所属事務所、事件現場の部屋を所有していた女性社長を相手に、民事訴訟を起こす意向を持っていると一部で報じられている。

 母親は証言台で「はがき1枚も受け取ったことがない。人の心を感じられない」と訴えた。事実、いまだに同被告から両親への謝罪はない。求刑と開きがある判決のやるせない思いも含め、民事提訴を検討する可能性もある。

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