【コラム】日本の自動車メーカーの障害は日本政府
ウォール・ストリート・ジャーナル 8月23日(月)12時5分配信
日本の自動車メーカーは、国内市場という重要マーケットの長期低迷に直面している。おなじみの少子高齢化も一因ではあるが、責任の大部分は日本政府にある。
総務省は先月、5年ごとに実施している全国消費実態調査を発表した。そのうちの主要耐久消費財の所有状況には、09年の1世帯当たりの自動車保有台数が、自動車が調査対象となった1964年以来、初めて減少に転じたことが示されている。メーカーにとって利幅が少ない軽自動車(666cc以下)の割合が引き続き増加。中古車を購入する人も増えている。
日本の自動車所有者は、消費税を含め、9種類の税金を課せられ、それが大きな負担となっている。例えば21000ドル相当(およそ180万円)の自動車を購入すると、課税額は9000ドルだ。これには、ガソリン税や高速道路料金は含まれていない。ドイツはこの約半分、米国では6分の1だと日本自動車工業会は説明する。運転免許を取得するためには、教習所に何週間も通わなければならず、その費用も2000ドル以上になる。車検の費用は、車が古いほど高くなる。これでは日本人の自動車離れが進むのも当然だ。
改革を目指す政府なら、この点に変化を起こすチャンスを見出すだろう。自動車関連の税収は大半が道路整備に充てられてきた。だがこの種の費用はもはや正当化は難しい。政府は自動車関連税収590億ドルをほかの目的に支出し始めていることを明らかにしている。財政再建の必要性を踏まえれば妥当な方針だろう。だが実際に道路の建設や補修以外に使われるのは20億ドル未満になる見通しだ。
税金と行政手続きを減らすことで、自動車の売れ行きが伸びたり、自動車購入の負担が減った分をほかの消費に回すといった、もっと直接的なメリットも得られるだろう。高い税金によって、結果的にCO2の排出量が抑制されるなど、予期せぬ恩恵がもたらされたことも事実ではある。だが、環境対策としての効果を狙うのであれば、エコカーの購入を優遇するなど、自動車産業を脅かすことのない、もっと賢いやり方があるはずだ。
そうした方法で国内消費が刺激され、製造業の雇用を維持することができるのであれば、道路に多少のへこみがあっても、大きな問題とは言えないのではないか。
[ハード・オン・ザ・ストリート(Heard on the Street)は1960年代から続く全米のビジネス・リーダー必読のWSJ定番コラム。2008年のリニューアルでアメリカ、ヨーロッパ、アジア各国に駐在する10人以上の記者が加わり、グローバルな取材力をさらに強化。刻々と変わる世界市場の動きをWSJ日本版でもスピーディーに紹介していく]
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最終更新:8月23日(月)12時5分
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