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[21879] 【ネタ】スプリングフィールドの犬(ネギまオリ主)
Name: molmol◆4fe69aa1 ID:c6689297
Date: 2010/09/14 22:31






我輩は犬である。












名前はもうある。












スプリングフィールドの犬











我が主から頂いた名前は、アランである。



ふふん、立派な名前だろう! ん?羨ましがってもあげたりはしないぞ?

なにせ我が主から頂いた、

唯一無二の我輩だけの名前なのだからな!わんっ!


そんな我が主の名は、ネギ・スプリングフィールドという。赤毛の人間の子供である。

我が主は小さくて頭が大きいのでよく転ぶのだが、

それをアーニャどの(注・主どののがーるふれんどである)にからかわれるので、

最近はもっぱら我輩の背中の上が定位置だ。まあ、それはどうでもいいか。


彼は昔、冷たい雨の中、

子犬だった我輩が怪我をして動けなくなっていたところを助け、

あたたかなミルクと寝床をくれたのだ。


当時のことははっきり覚えてはいないが、

我が主の必死の看護と、なでてくれた暖かな手はしっかりと覚えている。


それから我輩はすくすくと大きくなり、



彼と、彼の姉であるネカネ・スプリングフィールドと共に、



この家で、ぼでーがーどとして暮らしているのである!




道に転びそうな石があればどけてやり、

ネカネどのの買い物に付き合って荷物もちをし、

主どのとアーニャどのを背中に乗せて走り回り、

主どのが放るボールを持ってきて、

ちょっかいを出してくる近所のジョン(犬・♂の二歳)を追い払い、


その仕事は実に多忙を極める。


だが、我輩はあの時からこの方を主人にすると決めたのだ。



だからどんなに大変な仕事でも、



決して弱音を吐いたり情けない様子は見せないのである!




ふふん、我ながら犬の中の犬と言わざるを得ない。わふん。

しかし我輩はかっこいいから、

毎年毎年、発情期の時期になるとメスに誘われて仕方がない。

困ったものである。


正直、むらむらとくるものが無いわけではない。

何度か交尾にはしりそうになったこともある。



だがしかし、メスなんぞにうつつを抜かしている暇など我輩にはありはしないのだ!



我が主とネカネどのを守ることこそが、我輩のしめ……、


いや、アーニャどのに、たまにジャーキーをくれるスタンどのに、

ブラッシングをしてくれたアンジェラどのに、

さんぽしてくれたチャーリーどのに、

カールどのに、ジョーンズどのに、



ええと、それと、それと、あと、ええと







そう!我が主と、この村の皆を守ることが我輩の使命なのである!

























「アラン!ほーらとってこーい!」



だだだだだだだだだだだだ



「わんっ!わんわんわんわんわんっ!わふっ!くーんくーん!!ハッハッ」



「よしよし、良い子良い子」



「あらあらアランったら、

そんなに勢い良く尻尾を振ったらちぎれて飛んでっちゃうわよ?」



「じゃあ次、私が投げるわよー!」














まったく、今日も忙しい……。








忙しくてたまらない!たまらないなあ!!ハッハッ










――――――――――――

二次創作SSものに出るのが猫ばかりだったからカッとなってやった。



[21879] スプリングフィールドの犬 2
Name: molmol◆4fe69aa1 ID:c6689297
Date: 2010/09/15 00:17
わんわんわん!


あるじどの、あるじどの!


それは一体何ですか?主どのは何を描いているのですか?


お花ですか?太陽ですか?お空ですか?


いや、ネカネどの?それともアーニャどのですか?いやいやスタンどの?


あっもしかして我輩ですか!我輩なのですか!?そうなのですか!?そうなのですね!!


わんわんわんわんわん!!



「あっ駄目だよアラン!まだ出来てないんだから!」




くーん……。












スプリングフィールドの犬 2











「ピンチになったら現れる~♪どこからともなく現れる~♪」



歌いながら、くれよんを動かす主どの。

一体何を描いているのだろうか?

我輩かな?我輩かな?我輩だといいなあ。いや我輩に決まっている!


いつもかっこよく、ぼでーがーどとして主どのを守っている我輩なのだから!


はっよくよく聞いてみれば、もしやこの歌は我輩のことではないだろうか!?

ふふん、流石我が主どの。我輩のために歌まで作曲してくれるとは!

我ながら、良い主人を持ったものである。わふん。





…しかし、楽しそうで何よりではあるのだが、何よりなのだが、

放置されるとちょっと、ちょっとだけ、さみしいのである。


あるじどの、まだですか?まだなのですか?


だがしかし、主どのは、鼻歌交じりに楽しそうに手を動かしている。


うう。そんなに丁寧か描かれなくても良いのです。

そんなことよりも我輩の背にのってどこかに行ったり、ボール投げをしたりしませんか?

あるじどの、あるじどの!わんわんわん!


そんな我輩の願いが通じたのか、ふいに主どのが絵をかかげて、



「できた!」



できたのですね、できたのですね!?



「見てアラン、自信作だよ!」



見ますとも!我が主の渾身の一枚、見させていただきますとも!



我輩は、どんな風に描かれているかと、わくわくしながら絵を覗き込んだのだが、

描かれていたのは、我輩の想像とは違うものであった。



絵は、犬ではなく、人をかたどっていたのだ。



その人物の髪がある場所は、主どのの髪の色と同じ、赤色のくれよんで塗られていて、

手には杖を持ち、その杖から何だかよくわからないものが出ていて、

下の部分には何か文字(ちなみに、我輩は字は読めない。犬だからな)が書かれている。

うーん?


「……わふん?」


一体これはだれだろうか?

村に住む人々の顔や特徴は把握しているが、この人物には覚えが無い。


「あっアランはわかんないよね。この人はね、」






ぼくの、お父さんなんだよ。













***












「わんわん!わん!」


「うわあ、どこもかしこも真っ白だね」



季節は冬。


我輩は主どのと一緒に、広い道をさんぽしていた。


空から降ってくる雪というものは、食べると冷たくてちょっとおいしい。

積もると遊べてとっても楽しい。

我輩は冬の季節が一番好きなのだ。


寒くないのかって?

ふふん、我輩の黄金のふかふかな毛並みと、大きくて立派な体は、

寒さなどへっちゃらなのだ!

昔に比べると、我輩はますます大きくなり、

今では、やろうと思えば大人だって二人くらいはのせられるのだ!

足はつくけれど。

またがってるだけにしか見えないけれど。


……いや、大きくなったのだぞ?



とにかく、毎日主どのがブラッシングしてくれるおかげでさらさらな毛並みと、この体は、我輩の誇りなのである。


でも、動画さいととやらを見たアーニャどのがうちにやってきて、

主どのがブラッシングしてくれたときに出た、大量の抜け毛を集めて、我輩の首の周りにすっぽりとはめ、

「ライオン!ライオン!」と笑われたことがあったなあ。

動画さいととは何だろうか?

あとらいおんとは何だろうか?



解せぬ。



そうそう、昔はアーニャどのともよく遊んだものだが、

アーニャどのが魔法学校とやらに行き始めてからは、たまの休みにしか遊べなくなってしまった。

ネカネどのも同じく、アーニャどのと同じ時期には学校に行ってしまうので、

我輩と主どのは、主どののおじさんの家の離れに、


ほとんど、一人と一匹で暮らしている。



そういうこともあって、ネカネどのがいない間は、

我輩は特に、家の周りを警戒したり、さんぽの途中に主どのにくっついて周囲に目を光らせている。

ふふん、我輩は主どののぼでぃーがーどなので、当然なのだ。

まあ、この山間の小さな村は、特にこれという大事の起きない平和な場所なのだけれど。


我輩は白い雪が薄く積もった道に、足跡をつけながらぐんぐん進んでいく。


そうしながら、我輩は先ほどのことを思い出していた。



お父さん。主どののお父さん。



ネカネどのの話をちょっと聞いたことがあるのだが、

主どののお父さん、さうざんどますたー、ナギ・スプリングフィールドは英雄なのだという。つまりはひーろーである。

しかしそんな彼は、今は会えないほど遠い遠い国に行ってしまっているのだそうだ。

何故彼は、主どのとネカネどのを置いて、そんな場所に行ってしまったのだろうか?


我輩は物心ついたときにはお父さんもお母さんもいなかったので、

正直に言えばお父さんというものはよくわからないのだが、

自分の子供は、しっかり自分で守ってやるべきだと思うのだ。

まったく、主どのが絵に描くほど会いたがっているというのに、いつ戻ってきてくださるのだろう?

まあ、それまでは、いやそれ以降も、主どのは我輩がしっかり守ってさしあげるがな!ふふん!

それに、主どののお父上なのだ、きっと良い方に違いない。


ぜひとも、会ってみたいものである。



「…あれ?なんだろう」


「わふん?」



急にそう言って、主どのは足を止めた。

主どのの視線を先を見遣ると、そこには人が集まっていて、何かを話しているようだった。

静かなこの村には何とも珍しいことである。


はっ

もしや事件!?事件なのですか!?今こそ我輩の出番なのではないでしょうか!?


「わんわん!」

「おばさん、何かあったの?」

「あら、ネギ君にアランじゃない!」

「わふん!?」


主どのは人だかりに近寄って、果物屋の店主であるおばさんに声をかけた。

すると、おばさんは目を輝かせて我輩のほうに手を向ける。


ああ!主どの、いけません!この方に声をかけては、声をかけては――!!


我輩は悲鳴(周囲にはわんわんとしか聞こえない)を上げて後ずさるも、

あえなく彼女の手に捕まり、そして――






「ほれほれ、気持ち言いかい?」


もふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふ


「わふ、わふうん!?わふ、くううううううん!!」




ああ!?もふもふされてしまう!もふもふされてしまう!?



もふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふ



顔から始まり耳に付け根に続き、体中をもふられ撫でられ、

我輩はあまりの気持ちよさに、たまらず腹を出してころんと寝転んでしまう。


ああ、もふ、もふられ、もふ、もふん。


果物屋のおばさん、間違いなくこの方はゴッドフィンガーの持ち主である。


我輩は人気者なので、道を歩けばすぐに人が寄ってきて撫でられるのだが、

中でもこのおばさんは強敵である。

その撫で方は完全なるプロフェッショナルであり、

気を抜けば、ごはんのことも、遊びのことも、主どののことすらも頭から吹っ飛んでしまう。



まったく、恐ろしいおばさんだ。

気持ちいいなどという、そんなチャチなものではない。

もっと恐ろしいものの片鱗を味わったのだ……。



完全にとろけて雪の上に横たわった我輩を見て、豪快に笑っているおばさんは、


「あははは!あっそうだった。話の途中だったね」


そう言って、何があったのかを話し始めた。


話を要約すると、

なんと、この小さな村で事件が起こったというのである!




ことの始まりは三日前。

村に住む若い女性がふと気がつくと、

洗濯物として干していた下着が、いつの間にか無くなっていたのだという!

それを皮切りに、立て続けに若い女性の下着だけが無くなる事件が多発しており、

この人だかりはそれについて話し合っていたのだそうだ。


恐らくは窃盗だろうとのことであったが、

この平和な村で事件が起こるなどというのは本当に珍しく、

皆興味深々のようであった。

事件の被害者以外は。


被害者の一人であるらしい女性など、


「見つけたら魔法の射手十連発食らわせた上でオコジョにしてやる」


と息巻いていた。人間のメスとは実に恐ろしい。


ちなみに我輩は、人間のメスの下着を盗んで何が楽しいのかと不思議でならない。

主どのは人間のメスの下着があると楽しいのでしょうか?

うーん、わからない。


しかし、ただの泥棒なら、魔法使いだらけのこの村である。

すぐに捕まりそうなものなのだが、

どの件に関しても、実に鮮やかな手口で盗まれており、

証拠の一つも見つかっていないのだとか。


魔法使いとは言ったが、魔法とやらに関しては我輩はいまいちよくわかっていない。

ただ怪我をしたとき治してもらったり、他にもいろいろちょくちょく見ているのだが、

人間が使える、なんか便利なもの、といった印象である。

まあ、主どのを守ることだけが仕事の我輩には、何の必要もないがな!ふふん。


「泥棒かあ。こわいね、アラン……」

「わんわん!」


主どの!安心してください!主どのは我輩が守りますよ!

あれ?泥棒はメスの下着しか盗まないんだっけ。

なら安心である!

我輩は事が起きる前に主どのを守れたようだ。一件落着である!

ふふん、流石は我輩である。

よかったよかった。


「……ん?待てよ?」


ふいに、人だかりの中の一人が呟いた。






「どうせなら、アランに匂いをたどってもらえばいいんじゃないか?」






わふん?
















――――――

続いた。


(∪^ω^)わんわんお!わんわんお!


※一部表現に不適切な部分がありましたので修正いたしました。



[21879] スプリングフィールドの犬 3
Name: molmol◆4fe69aa1 ID:c6689297
Date: 2010/09/18 03:10
我輩の嗅覚は、どうやら人のそれよりずっと優れているらしい。


はるかに離れた場所にいるスタンどのの隠し持った(恐らく後で我輩に渡すつもりであったであろう)、

ジャーキーの匂いを嗅ぎ取ったり、


マーキングしてある場所の匂いを嗅いで、相手の情報を得たりと、



実に便利なものである。



だが、まあ、よすぎるのも大変なもので。











スプリングフィールドの犬 3












くんくんくん。


「これの匂いをよーく覚えてね」


我輩は鼻面に突き出された衣服の匂いを、言われたとおりに嗅ぎ取った。

なんだか、香りのきつい花の花弁を、鼻に擦り付けられる三倍くらいの匂いがする。くちゃい。

若い女性の衣服などは、こういう匂いがついてることがあるので苦手なのだ。

なんというか、鼻の頭がつーんとして、もわもわとして、思わず顔をしかめてしまう。

正直に言えば嫌ではあったが、しかしこれも犯人逮捕の為である。

ひいては我が主の為でもあるのだ!



それを思えばこんな匂いなど!こんな匂いなど!


えい!えい!





でもやっぱりくちゃいです、主どの。


くうーん。



「どうかしたのか、アラン?」


「あらあら、なんか落ち込んでるみたいねえ」


「ああ、アラン香水の匂いが嫌いだから……」




「ところで、本当にこれで見つかるか?犯人」


「いや、言いだしっぺの俺が言うのもなんだけど、

 映画でこういうシーン見て憧れてただけなんだよな。

 実際見つかれば一番良いけど、気休めというか、なんというか」


「アランだしなあ」


「アランだしな」


「ネギに気をとられて、うっかり家の壁に頭ぶつけたりするような犬だしなあ」


「昔はよくうれションしてたよな。俺、膝の上でやられたことあるぜ」





「……」


「……」




「それにこのまま犯人見つからなくて、

 万が一にでも俺たちが疑われたりしたくないんだよ……」


「ああ、お前角の花屋のあの子狙ってるんだったもんな」


「噂だと被害にあったらしいんだ。ちくしょう、誰だよ犯人、うらやましい」


「……」





むう。ざわざわと、あそこは一体何を話しているのだろうか?解せぬ。


時折我輩をちらちらと見るので気になったが、

そのうちやめたので、我輩も気にするのをやめた。

おおかた、我輩がいつ頃犯人を突き止めて戻ってくるかについて語っているのだろう。


ふふん、期待されるのも悪くないものである。


とにかく、我輩の現在の使命はこの匂いのする衣服を探し、

連続下着泥棒の正体を突き止めることだ!


「アラン、がんばろうね!」


「おいおい、まさかネギ、一人で行くつもりか?」


「一人じゃないよ、アランがいるもん!」


めったにない村での事件に、主どのは少々興奮気味である。


目はきらきらと輝き、先への期待感に溢れており、我輩は思わず微笑ましい気持ちになった。

かくいう我輩も、事件など初めてなので(なにせ我輩は、この村に来て未だ一年も経っていない)、

ちょっぴり興奮しているのを自覚していた。


ちょっぴりである。ちょっぴり。

ちょっぴりではあるのだが、

あるのだが、


もしもこれで颯爽と犯人を捕まえたりしたら、主どのはきっと褒めてくださるに違いない!


いつもの二倍、三倍、いや四倍!それにおやつやさんぽの回数が増えるかもしれない!


いやいや被害者の女性たちからも贈り物を貰えるかもしれない!



我輩はささみジャーキーを希望する!



わんわんわん、くうーんわふんふわん!!


「アランもやる気まんまんだね!

 よし、それじゃ早速行こうか!」


はい、あるじどの!




こうして主どのと我輩は、連続下着泥棒の真犯人を求めて旅立ったのであった。











***












アランとネギがその場を離れて少ししたころ、

村に住む男性の一人が声を上げて、それに果物屋の店主が反応した。



「あっ」


「なんだい、一体?どうかしたのかい」


「いや、あの服って香水かかってましたよね」


「ああ、たしかそうだったと思うけれどねえ」


「犯人は洗濯物の下着を盗っていったんだし、

 盗品と、アランに嗅がせた服って、随分匂いが違うんじゃあ?」






「……まあ、アランの鼻に期待してみようじゃあないか。犬なんだから」


「あーあ、下着泥棒なんて面倒なこと、なんで起こったんだろう。

 軍隊にでも攻め込まれれば、やり返せばいいだけなんだから、簡単なんですけどね」


「まったくだねえ。最近、杖がほこりをかぶって仕方ないよ」


「ま、戦火だらけだった昔に比べて、ここでの生活は平和で楽しいですけど。

 ……ナギさんの息子には、このまま平和に育って欲しいもんです」


「ココロウァさんとこのアーニャちゃんや、従妹のネカネちゃん、それにアランもいるんだ。

 来年には魔法学校に通い始めるっていうし、まあ、大丈夫だろうさ。

 素直な子だ、ナギのぼうずみたいに、中退なんてこともないだろうしね!はっはっは!」













***











くんくん。ふんふん。


我輩は、ほんの僅かな匂いを追いかけて、いるふりをしつつ、村のはずれにある森の中を歩いていた。

後ろからは主どのが、何の疑問も持っていないという我輩を信頼しきった顔でついてきていたのだが、

我輩は、正直焦り気味であった。


というのも、我輩にはあの時嗅がされた衣服の匂いのありかが、わからなかったのである。


どこを嗅いでもあのようなきついぷうんという匂いはしないし、

ましてやそれがどこにあるかなど、まったく検討もつかなかったのだ。


だが、主どのの期待に答えられないとあっては、スプリングフィールド家の犬失格である。


そんなわけで、とりあえずは色んな場所で匂いを探してみようということになったのだ。

主どのは、我輩が一直線に犯人の下へ向かっていると思っているようだが。


うう、後ろめたい申し訳ない。


本当なら、既に真犯人を捕まえてふふんと言いながらおやつを食べていたはずなのに。


だがわからないものは仕方がない。

何としてでも手がかりとなる匂いを見つけて、真犯人の正体を暴いてやらねば!

そう改めて思い、歩を進めるうちに、我輩はあることに気がついた。


けものの匂いがする。


我輩は、匂いでたいていの相手のことは理解できる。

もしもこのけものの匂いから、相手が我輩よりも大きく、強そうであるように感じたのなら、

我輩は主どのを連れ、さっさとここから離れたのだろう。

だが、匂いからすると、どうやらそうでもないらしい。


もっと小さいいきものだ。


そこまでなら、まだ我輩は無視して森の中を進むことを選択しただろうが、

我輩はそれをしなかった。


そのいきものの匂いから、ほんのわずかにあの衣服の匂いが香ったからだ。


我輩はすぐにしっぽをぴんと立て、主どのに向かってワンと一声鳴いた。

それで意味を理解したらしい主どのは、頷いて、我輩の後ろにつく。


そして、我輩はゆっくりと、そのいきものの匂いがする方向に向けて歩き出す。

しばらく歩いて近づいても、匂いのもとがその場を離れる気配はない。


とうとう匂いの元まであと少しというところまで来て、

我輩は草むらのかげに伏せた。主どのも同じようにその場に伏せる。

草むらの合間から覗こうとしても、相手の姿は見えなかった。



やがて意を決し、我輩は草むらから一気に――飛び出した!!





「ぎゃああああああああああ!?」





途端に聞こえた叫び声に、思わず我輩は目を白黒させて止まった。

今の叫び声はなんだろうか?明らかに主どののものではないが、この場に人間は主どの一人である。



だって、ここにいるのは、犬である我輩と、



目の前の罠にかかっていて動けないらしい――




「ああっウソごめんなさい食べないで!

 ……って、い、犬!?野犬かこのやろう!俺っちを食おうったって、そうはいかねえぞ!

 俺っちは、俺っちには、帰りを待つ妹がいるんだ!!」




何故か、人間の女性の下着を握り締めている、








おこじょだけなのだから。


























――――――

おこじょって本来すごく可愛い生き物なんだよ。
画像検索なんてすれば萌え死ねるんだ。

コ○ョピーは俺の嫁。


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