我輩は犬である。
名前はもうある。
スプリングフィールドの犬
我が主から頂いた名前は、アランである。
ふふん、立派な名前だろう! ん?羨ましがってもあげたりはしないぞ?
なにせ我が主から頂いた、
唯一無二の我輩だけの名前なのだからな!わんっ!
そんな我が主の名は、ネギ・スプリングフィールドという。赤毛の人間の子供である。
我が主は小さくて頭が大きいのでよく転ぶのだが、
それをアーニャどの(注・主どののがーるふれんどである)にからかわれるので、
最近はもっぱら我輩の背中の上が定位置だ。まあ、それはどうでもいいか。
彼は昔、冷たい雨の中、
子犬だった我輩が怪我をして動けなくなっていたところを助け、
あたたかなミルクと寝床をくれたのだ。
当時のことははっきり覚えてはいないが、
我が主の必死の看護と、なでてくれた暖かな手はしっかりと覚えている。
それから我輩はすくすくと大きくなり、
彼と、彼の姉であるネカネ・スプリングフィールドと共に、
この家で、ぼでーがーどとして暮らしているのである!
道に転びそうな石があればどけてやり、
ネカネどのの買い物に付き合って荷物もちをし、
主どのとアーニャどのを背中に乗せて走り回り、
主どのが放るボールを持ってきて、
ちょっかいを出してくる近所のジョン(犬・♂の二歳)を追い払い、
その仕事は実に多忙を極める。
だが、我輩はあの時からこの方を主人にすると決めたのだ。
だからどんなに大変な仕事でも、
決して弱音を吐いたり情けない様子は見せないのである!
ふふん、我ながら犬の中の犬と言わざるを得ない。わふん。
しかし我輩はかっこいいから、
毎年毎年、発情期の時期になるとメスに誘われて仕方がない。
困ったものである。
正直、むらむらとくるものが無いわけではない。
何度か交尾にはしりそうになったこともある。
だがしかし、メスなんぞにうつつを抜かしている暇など我輩にはありはしないのだ!
我が主とネカネどのを守ることこそが、我輩のしめ……、
いや、アーニャどのに、たまにジャーキーをくれるスタンどのに、
ブラッシングをしてくれたアンジェラどのに、
さんぽしてくれたチャーリーどのに、
カールどのに、ジョーンズどのに、
ええと、それと、それと、あと、ええと
そう!我が主と、この村の皆を守ることが我輩の使命なのである!
「アラン!ほーらとってこーい!」
だだだだだだだだだだだだ
「わんっ!わんわんわんわんわんっ!わふっ!くーんくーん!!ハッハッ」
「よしよし、良い子良い子」
「あらあらアランったら、
そんなに勢い良く尻尾を振ったらちぎれて飛んでっちゃうわよ?」
「じゃあ次、私が投げるわよー!」
まったく、今日も忙しい……。
忙しくてたまらない!たまらないなあ!!ハッハッ
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二次創作SSものに出るのが猫ばかりだったからカッとなってやった。