藤沢数希さんがアゴラに投稿した記事にコメントしたが、それが松本氏への反論だったためなのか、なぜか反映されなかったので自分のブログで書かせていただく。

5. 松本徹三2010年08月19日 14:21
あまり効果がない上に、どうせ短期間で息切れする為替介入などをするよりも、最近話題に上がり始めた「貯蓄税」を円建ての預金に対してのみ適用し、外貨建ての預金には適用しない事にしてはどうでしょうか?

そうすると膨大な個人の預金資産が円売り外貨買いに走り、この方がより大きな円安をもたらすことになるでしょう。こうして円安が実現すると、日本の輸出産業を助けて雇用増が実現するのみならず、資産を外貨に転換した預金者は、節税をしただけでなく、若干大きな利息収入と巨額の為替差益を得て、みんな幸せになります。

円安基調が固まった頃に、預金者は少しずつ円を買い戻し、為替差益で貯蓄税の支払いをはじめれば良いと思います。


 これに対して反論のコメントを書かせてもらったが、残念ながら反映してくれなかった。
 アゴラのような敷居が高いブログのコメントでは決して書けないことを正直に言うと、貯蓄税なんて今の日本の状況を何も分かっていない素人の発想である。あまりにも稚拙すぎて冗談にもなっていない。故に反論のコメントをさせてもらったが言論封殺されてしまったようだ。アゴラでコメントが反映されなかったのは誤って作成途中の文章を投稿してしまったものぐらいで、時間をかけて考えながら書いたコメントが反映されなかったのは初めてだ。誰の意向かは知らないが、正直言って残念でならない。

 それはいいとして、では上に書いている預貯金に課税したらどうなるか。常識で考えてタンス預金になる可能性が一番高い。そりゃ当り前だ。預貯金してたら課税されるのだ。課税額以上の金利がつかないかぎりは下ろされると考えるのが普通だ。
 では預貯金を下ろされたらどうなるか。まず銀行や郵貯は預かり金を返済するために国債を売ると考えるのが普通だ。国債が売られればどうなるか。当然国債を誰も買わなくなってしまい、予算を組めなくなる。予算を組めなくなったら様々な社会機能が麻痺するだろう。
 それだけならまだかわいい。最悪の場合、全国で取り付け騒ぎに発展して金融機関が次々に破綻。パニックを抑えつけるために預金封鎖せざるを得ない状況に追い込まれるかもしれない。
 コメント欄に書いたことはおおむねこんな感じだったと思う。そして貯蓄税なんて誰のアイデアかを教えてほしいと最後に付け加えたが、コメント欄に俺の文章を反映させないところを見ると、答えてくれる可能性はゼロだろう。

 松本氏のコメントは希望的観測の意味不明な円安政策に過ぎない。俺のコメントを反映させずに逃げているところを見ると、現実を見たくないのだろう。膨大な個人の預金資産が円売りに走って大きな円安をもたらして日本の輸出産業を助けるとともに雇用も増え、そして個人は節税と大きな利息収入と為替差益を得て幸せになるという希望的観測はいいとして、それを実行することによって、その裏で発生する副作用については完全無視。というより想像もできなかったらしい。
 そりゃ国債が全く売られずにみんなが外貨に変えられれば問題は発生しないが、みんなが円を売るということは国債を売るのとイコールである。預貯金が下ろされないためには税率プラスアルファの金利が必要になってくるから国債価格も当然下がってくる。非常に単純な理屈だ。
 俺のコメントを反映しなかったのは誰の意向か不明だが、少なくとも松本氏にはもっと柔軟に間違いを受け入れる勇気をもってもらいたい。
 それにしても円安にするためのおかしなアイデアを考える人はいつの時代でも絶えないのだなと考えさせられる。

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