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明瞭会計の葬儀事業に僧侶異議 「言い値」放置に苦情も(1/2ページ)

2010年9月18日15時0分

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 大手スーパーのイオンが昨秋、「安心の明瞭(めいりょう)会計」をうたい、葬儀事業を始めたが、これに僧侶らが「仏教本来の精神を踏みにじった」と異議を唱えている。寄付金であるお布施や戒名料などを定額料金のようにホームページで表示したことに対し、伝統仏教教団でつくる全日本仏教会(全日仏)が反発。イオンは削除に応じた。ビジネスと仏事のはざまで葬式が揺れている。

 「お布施はシステム化になじまない。遺族それぞれに寄り添う変動相場制であるべきだ。(イオンは)もっとおとなしくやっていただきたい」

 全日仏が東京・秋葉原で13日に開いたシンポジウム。パネリストの一人、僧侶で作家の玄侑(げんゆう)宗久さんは、こんな不快感を示した。

 イオンがクレジットカード契約者を対象に、葬儀事業に乗り出したのは昨年9月。全国約400社の葬儀業者と提携し、コールセンターに電話をすれば近くの業者を紹介する。全国共通の標準価格をもとに、棺や骨つぼなど費用の細目をすべて公開している。

 今年5月には、僧侶の派遣をあっせんするサービスも始めた。「お布施の目安」は、戒名のランクなどに応じて10万円、25万円、40万円、55万円。ホームページに表示し、「8宗派の約600カ寺と連携」とも宣伝していた。

 全日仏は「僧侶への『ギャラ』のように表示され、寺が戒名を売買している印象も与える」などと反発。表示をやめるよう、6月から申し入れていた。戸松義晴(とまつ・よしはる)事務総長は「お布施という信仰の核心部分まで商品化された。この一線を越えられると、葬儀が仏教儀式として成り立たなくなる」と危機感を募らせる。

 数回の話し合いの末、イオンは今月上旬、ホームページから「お布施の目安」を削除した。ただし、コールセンターでは口頭で伝えている。

 全日仏が神経質になるのは、数百万円に上る高額の戒名料やお布施の不明確な経理がバブル期から批判されてきたからだ。全日仏は2000年に戒名に関する報告書をまとめ、「一部に高額な請求をする僧侶がいる」と認めた上で、「今後、『戒名料』という表現は用いない」「戒名は売買の対象ではない」などと表明していた。

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