菅改造内閣が発足、民主党を率いる「新トロイカ」
「反小沢」で協力した人物を起用、「新保守」が主力の世代に
日本の政界では新たな「トロイカ体制」がスタートを切った。菅直人首相は、16日に岡田克也外相を幹事長に任命したのに続き、17日には前原誠司国土交通相を岡田外相の後任に任命するなど、党執行部や内閣の顔ぶれが確定し、発表された。
注目を集めるのは、言うまでもなくこの3人だ。3人はもともとの出自は違うものの、今回の代表選挙で小沢一郎元幹事長に対抗して連合戦線を組み、17日には菅改造内閣や民主党新執行部の司令塔となった。
民主党の「トロイカ」は、もともとは小沢元幹事長と鳩山由紀夫前首相、そして菅直人現首相の3人を指していた。2004年に党運営を3人で始めて以来、昨年9月の政権獲得まで党を率いた中枢ポストだった。政権獲得後も、首相(鳩山)、幹事長(小沢)、副首相(菅)をそれぞれ担当し、名実共にトロイカ体制を構築してきた。
しかしこの3人は、今回の代表選を契機に、完全に決別した。鳩山前首相が小沢元幹事長を支援して連合戦線を組んだのに対し、菅首相は「反小沢」陣営の岡田、前原両氏と手を組んだ。今回の「新トロイカ体制」の構築は、連合対連合の戦闘で勝利したことに伴う戦利品といえる。
岡田克也新幹事長は、自民党で政治家として歩み始めた当初は小沢氏に近い人物だったが、その後の路線対立により、1997年に小沢氏と決別。その後は、小沢流の政治を「派閥」「金権政治」と批判し続けてきた。一方の前原新外相は、松下政経塾出身で、党内若手グループを代表する人物だが、小沢氏とは対立してきた。
新トロイカ体制の構築は、世代交代の意味もある。旧トロイカでは、小沢氏が68歳、鳩山氏が63歳だった。これに対し新トロイカでは、岡田氏が57歳、前原氏は48歳だ。63歳の菅首相という「輪」の下に、主力世代がぶら下がっているわけだ。この3人は、保守的ながらも比較的自由なスタイルで、「新保守」と呼ばれる。また岡田幹事長と前原外相は、大衆的人気も高く、遠からずして首相になり得る人物としても評価されている。
ところで、新たに外相を務めることになった前原氏は、戦争放棄および戦力の不保持を定めた憲法第九条の改正を明確に主張するなど、国家主義的な色彩を帯びた人物だ。集団的自衛権の認定、武器輸出三原則の再解釈も主張している。また、中国脅威論の先頭に立つなど、対中警戒派としても知られている。しかし、靖国神社参拝問題については、天皇および閣僚が参拝できるようA級戦犯を別の神社に分祀しなければならないと主張するほか、外国人に対する地方参政権付与にも賛成するなど、理念的に硬直した人物ではないとも評価されている。韓国に対しては、比較的友好的な人物だ。国道交通相時代には、大規模なダム建設(八ッ場ダム)工事を中断させるなど、大胆な決断を数多く下した。また、羽田空港のハブ空港化を推進するため、仁川空港を直接訪れたこともある。
東京=辛貞録(シン・ジョンロク)特派員
