2010年9月18日11時23分
北京の日本大使館前でデモをする若者たち=18日、峯村写す
満州事変勃発(ぼっぱつ)のきっかけとなった柳条湖事件の79周年にあたる18日、北京の日本大使館や上海の総領事館の周辺では、尖閣諸島沖で起きた中国の漁船と海上保安庁巡視船の衝突事件への抗議活動があった。中国当局は周辺を厳重に警備し、デモの拡大を封じる態勢を取っている。
日本大使館前では同日午前、100人近い人が集まり、事件で逮捕された中国人船長の早期返還や尖閣諸島に対する中国の領有権、日本製品の不買運動を訴えるシュプレヒコールをあげた。上海総領事館前では、十数人が「違法勾留(こうりゅう)の船長を早く帰せ」などと書いた横断幕を掲げた。
ただ、中国当局は2005年に起きた大規模な反日デモの再発を阻止する構えで、日本大使館周辺では制服、私服の警官や武装警察隊員が前日から夜を徹して警戒。18日午前には、大使館に通じる周辺道路に100台を超える警備車両を配置した。北京では、05年のデモの出発点となった中関村や北京大周辺にも多数の人員と車両が配置された。
上海の日本総領事館前の道路は、朝から通行止めにされ、デモ発生時に道路を封鎖するためのコンテナも運び込まれた。上海万博会場内の日本館前では、武装警察隊員たちが18日朝の開場前、前夜に続き、部隊配置などを確認していた。抗議活動に備えたものとみられる。
瀋陽や広州など各地の総領事館周辺でも、厳しい警備態勢が敷かれた。
中国当局は、反日デモが拡大し、統制不能になることを警戒。国内メディアに対し、国営新華社通信の配信以外の報道を規制し、ネット上の主要な反日サイトも検索できないようにされている。(北京、上海、瀋陽、広州)