司法研修所で法廷実務を学ぶ修習生に国が給料を出す制度を、今のまま続けるための法改正を民主党が考えている。おかしな動きである。
今年の司法試験合格者が研修所に入る11月から、給費制をやめ貸与制に切り替えるのは一連の司法改革と連動して6年前に決められた。「法科大学院新設、裁判員制度導入など、司法改革によって財政支出・国民負担が増えるなか、給費制を継続するのは国民の理解を得られない」のが理由で、民主党も賛成した。
給費制は、司法修習制度が始まった1947年には、戦後の経済混乱の中で修習生に生活の心配をせずに研修に専念させる手立てとして合理性があっただろう。しかし現在の納税者の目には、理屈に合わない国費支出と映るのではないか。社会的にも経済的にも恵まれた法曹(裁判官、検察官、弁護士)になる人々が専門職訓練を受ける間の生活を支えるのになぜ税金を使うのか、国民が納得する理由は見いだしづらい。
民主党が給費制継続に向け動きだしたのは、日本弁護士連合会から強い働き掛けがあったからだ。
「法科大学院の学費に加え研修中の生活費が自己負担となると、経済的に余裕のある人しか法曹を目指せなくなる」との主張だが、司法修習を所管する最高裁は「合理的かつ実証的な理由、根拠」を明らかにするよう求める質問書を日弁連に出す異例の反発をみせた。
貸与といっても、返済条件は緩く「無利息、5年間据え置き、その後10年までの分割」である。最高裁が指摘するとおり、給費制の継続は国民の理解を得られまい。
今年の新修習生約2千人に給費を続けるには年に約100億円要る。それだけの予算があるなら、資力のない人を援助する民事法律扶助や国選弁護の制度を拡充するとか、司法過疎地で働く弁護士の待遇を改善するとか、あるいは裁判員の日当を上げるなど、より広い範囲に利益が及ぶように使うべきだ。
給費制継続には心配な“副作用”もある。司法試験合格者を大幅に増やすのに、財源難というもう一つのハードルが加わることだ。ただでさえ遅れている法曹人口の拡大が、さらに難しくなってはいけない。
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