きょうのコラム「時鐘」 2010年9月18日

 「脱小沢へ強行突破」だという。菅首相が民主党幹事長に岡田氏をあてた人事が、こう評された。一方の岡田氏は当初固辞し「天命だ」と受けるのに時間がかかった

政権与党の幹事長ポストはのどから手が出るほど欲しいはず。だが、実力者と言われる面々が尻込みした。小沢勢力の恨みを買いたくないからだと言われる。「据え膳食わぬは男の恥」という変な例えが思い浮かぶ。火中の栗なら、あえて拾ってこそ政治家として道が開けるのではないか

米国の民主党は、大統領選で党候補を争ったヒラリー・クリントンが、オバマ大統領の下で国務長官の職にある。目の上のたんこぶとも言える存在を要職につけたのはオバマ大統領の度胸であり、ヒラリーの勇気だったとされる

両者とも打算はあったろうが、それが政治だ。日本の民主党にそれだけの度量はあるのか。権力を握ることは人事権を執ること。トップに立った者だけが行使できる。この専権事項を完全行使できないトップは真のトップとは言えまい

「412人内閣」とは政権基盤の弱さを言っているに等しい。腰の引けた強行突破に見える。