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押尾被告に大甘裁定、実刑懲役2年6月 (2/2ページ)

2010.9.18 05:06
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押尾被告に大甘裁定、実刑懲役2年6月
午後、押尾学被告を乗せたとみられる護送車が東京地裁から東京拘置所に到着=東京・小菅(撮影・今野顕)【フォト】

 「保護責任者遺棄罪の限りで認定した」。山口裕之裁判長が読み上げた犯罪事実から、「致死」の言葉が消えていた…。

 合成麻薬MDMAを一緒にのんだ東京・銀座のクラブホステス、田中香織さん(当時30)を救命しなかったとして、保護責任者遺棄致死と麻薬取締法違反(譲渡、譲り受け、所持)の罪に問われた押尾被告。この日も黒のスーツに白いワイシャツ、青いネクタイにロン毛姿は、3日の初公判時から変わらない。

 判決は懲役2年6月の実刑。約45分にわたる判決理由の読み上げの間、被告席のイスに座り背筋を伸ばして聞いていたが、閉廷して弁護側の席に戻ると力なく座り込み、うなだれた。

 MDMAは被告が持参したと認定、「自己に有利な供述はとうてい信用できない」とされた。119番しなかったことにも「酌量の余地はみじんもない」とバッサリ。「芸能人としての仕事、自らの家庭を失いたくないという自己保身のために必要な保護をしなかった」と厳しい批判が続いた。

 ただ1点だけ、弁護側の主張が“考慮された”。最大の焦点の「救命可能性」のところだ。

 弁護側証人の救命医が、香織さんのMDMA血中濃度が致死量を大幅に超え救命可能性が極めて低かったなどと証言したことを重視。裁判長は「直ちに通報しても、救命が確実だったことが合理的な疑いを入れない程度に立証されているとはいえない」とした。

 つまり、救命可能性が高かったことが十分に証明できていないとの“微妙”な表現ながら、香織さんが放置されたことと死亡したことの因果関係を否定した。

 量刑は、致死がつけば懲役3年以上20年以下だが、つかない場合は懲役3月以上5年以下と天地の差。昨年11月に麻薬取締法違反(使用)罪で懲役1年6月、執行猶予5年の判決を受けており、今回執行猶予が取り消されて1年半が加算されるため、実質は“懲役4年”だが、日大名誉教授(刑法)の板倉宏氏(76)は「判決は軽すぎる」と批判する。

 「裁判所は『救命可能性は相応にあった』ことは認めている。最高裁判例を見ても可能性は100%である必要はない。致死は認められるべき」と板倉氏はいう。

 押尾被告は判決後、弁護団に「法廷では不利なことも含めて供述したのに、信用できないと言われて納得できない」と話し、即日控訴。“第2ラウンド”でも自説を押し通すのだろうか−。



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午後、押尾学被告を乗せたとみられる護送車が東京地裁から東京拘置所に到着=東京・小菅(撮影・今野顕)
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