「見殺しにしていない」と訴え続けたかつての人気俳優に、裁判員らが下した答えは「実刑」だった。17日、東京地裁で懲役2年6月を言い渡された押尾学被告(32)。みけんにしわを寄せて判決を聞き、いったんはへたり込むように座ったが、「納得できない」とすぐさま控訴。今後も争う姿勢を見せた。
「真摯な反省の情は皆無」「酌量の余地はみじんもない」。判決に厳しい言葉が並ぶ。男性4人、女性2人の裁判員は、一様に真剣な表情で押尾被告を見つめた。男性3人の補充裁判員も傍聴席から見守った。
前回まで7回に及んだ公判と同じように、黒のスーツにワイシャツ、青いネクタイ姿。手をひざに置き、表情はこわばったまま。13日の被告人質問で時折見せたような余裕はない。傍聴席の田中香織さん=当時(30)=の両親の方に目を向けることは一度もなかった。
17日夕、記者会見した弁護団によると、被告は判決主文の一部が理解できず、閉廷直後に「実刑なのか、執行猶予なのか」と弁護人に質問。「主張が認められなかった」と肩を落とし、いすにへなへなと座った。
地裁内の接見室で面会した弁護人から説明を受けると、一瞬驚いた顔を見せ、「法廷で不利なことも含めて供述したつもり。信用できないといわれ、納得できない」と悔しがり、控訴を決めたという。