<大津市粟津8の20(077・534・9958)>
JR東海道線と京阪石山坂本線の石山駅から徒歩1分。線路脇の細い路地に入ると、ひっそりとしたたたずまいの店がある。引き戸を開けると、七輪にくべた備長炭で焼いた肉と、たれの混ざった香ばしいにおいに包まれ、食欲をそそられる。
在日コリアン2世の徐和美さん(58)と、長男で3世の金永秀さん(34)が切り盛りする。和美さんは客から「オモニ(お母さん)」と呼ばれ親しまれる。湖岸でない石山駅近くでなぜ「湖岸」か。オモニの義理のお姉さんが大津市におの浜の湖岸通り沿いに店を構えたことに由来する。72年から、オモニと脱サラした夫の金永柱さん(63)がお姉さんの店を手伝い、翌年、のれん分けして独立した。同市浜大津で6~7人しか入れないカウンターだけのささやかな店を始め、78年に今の場所に移転した。
人気は「上カルビのおろしポン酢」(1300円)と「上ミノ塩焼き梅ソース」(800円)。例年にない猛暑の今年、さわやかな味わいを楽しんでもらおうと永秀さんが考案し、7月から始めた。
肉はすべて永秀さんが霜降り具合や張りを吟味して仕入れる。永秀さんは「せっかくのいいお肉だからこそ、お客さんには真剣に焼いてほしい」と願う。肉を一気にまとめて網に乗せて焦がしてしまう人が少なからずいるとか。食べるペースに合わせて一切れずつ網に乗せて味わうのが基本。アットホームでくつろげる雰囲気の中で、気軽に焼き方を聞き、肉のおいしさをより一層味わってほしい店だ。【後藤由耶】
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メニューは、チリトリ鍋(1人前1500円)▽激辛!ホルモン(600円)▽豆腐チゲ(650円)--など。オモニが漬ける白菜、大根、きゅうりのキムチ(300~350円)も絶品。営業時間は、平日・土曜=午後5時~午前0時(ラストオーダー午後11時半)、日曜・祝日=午後5時~午後11時(ラストオーダーは午後10時半)。木曜定休。
毎日新聞 2010年9月3日 地方版